感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゅん
13
M-1における漫才とラップカルチャー。本書は、「しゃべり」を必須とする二つの文化様式を、時代と形態の同一性から並べて語る。キングコングが衝突した速度と感情の相剋を、SEEDAの歩みに見出す。スリムクラブにおける間のあり方を、酩酊を表現するgotchのラップに重なる。二つのインタビューを挟み、後半ではラップにおけるファッションブランドの扱いからイメージとの戯れを描き出す。プレイヤーたちを寿ぎながら、しかし本書は「しゃべり」の技巧的進化が我々にもたらす困難を意識し続ける。二つの意識がぶつかり合う。2024/08/06
おーえ
5
ラップは全く通らなかったけど、自分の中のなにかが少し違ったらハマってたんだろうな。もう少し自意識が少なくて没入感があったら今頃道の真ん中を歩きながらラップを口ずさんでいたかもしれない。 心の底からベタを楽しめるのはリズムに乗る身体性としての運動神経も必要になるし才能だな。あとベタをやり込んでない素人がやる安易なメタ、ずらしは何もない虚無の空間にただ突入してださくなりがちだなと思う。2025/06/15
arnie ozawa
2
ラップと漫才について書いた前半は刺激的。ヨネダ2000、TaiTanとの対談も興味深し。TaiTanの落語は?という問いにちゃんと答えることのできていない著者だったが。 後半のファッションとラップの関連を評するパートは別の本にしてくれたほうが良かったなぁ。2024/12/02
文狸
1
「2017年12月3日、私はM-1グランプリ決勝で披露されたジャルジャルの漫才「ピンポンパンゲーム」を視聴しながら、価値観を激しく揺さぶられていた。それは、文字どおり衝撃的な出来事であった。漫才について「ボケとツッコミの二人がエピソードをしゃべるなかで、緊張と緩和によって笑いを生成し膨らませていくもの」といった程度のごくごく表層的な理解しかなかった自分にとって、 ジャルジャルの表現はその定義を根底から覆し書き換えてしまうものだったのだ→2024/08/10
miyan
0
スピード・バイブス・パンチライン、3つの切り口から日本語ラップと漫才の共通点を読み解く、という面白い試み。 日本語ラップと漫才の両方をこよなく愛しているので、題材は好みど真ん中だったけど、内容については腑に落ちるまで至らず。 二部についてはハイブランドに興味がないせいで楽しめず。 個人的ハイライトはヨネダ2000のインタビュー。2025/04/09