目次
第1章 1930‐40年代 瀧口修造と阿部展也 前衛写真の台頭と衰退(はじまりのアジェ;阿部展也、美術作品を撮る;『フォトタイムス』における阿部展也の写真表現;「前衛写真協会」誕生とその時代、その周辺―「前衛写真座談会」をきっかけに)
第2章 1950‐70年代 大辻清司 前衛写真の復活と転調(大辻清司、阿部展也の演出を撮る;大辻清司の存在論のありか―「APN」前後の動向を手がかりとして;『文房四宝』―モノとスナップのはざまで;私(わたくし)の解体―「なんでもない写真」)
第3章 1960‐80年代 牛腸茂雄 前衛写真のゆくえ(桑沢デザイン研究所にて;日常を撮ること;『SELF AND OTHERS』(1977)
紙上に浮かび上がるかたち 牛腸茂雄と瀧口修造
『見慣れた街の中で』(1981))
感想・レビュー
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歩毛男
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過去のある時点で”前衛だった”写真。その思考の軌跡を読み解くことの興味はともかくとして、現在という時代から見る写真達は、グロテスクな作家の自意識が残るのみに思えて、やや無残である(シュールレアリズムのオートマティズムをその手法として利用しているというのは、大いなる皮肉としか言いようがない) その中でやはり牛腸茂雄の写真は別格である。写真である以上、写された物はその時代背景から自由にはなれず、魅力の一部はノスタルジーに拠っているとは思われるもののそれだけではない事は確か。2024/08/08