内容説明
犯罪加害者、被害者遺族、関係者たちの“うめき”に耳をすまして。
目次
中野劇団員殺人事件―ある日突然、恋人を殺された男の絶望と追及と再生の6年半
千葉小3女児殺人事件―「日本とベトナムをつなぐ架け橋になりたい」保護者会会長に殺された愛娘の意思を継いで
大阪21歳女性刺殺事件―多重人格者の男に娘の命を奪われた母もまた乳がんでこの世を去った
前橋高齢者強盗殺人事件―生きるために2人を殺め現金7千円とリンゴを盗んだ土屋和也死刑囚と自分のために我が子を捨てた母とのいびつな絆
京都アニメーション放火殺人事件―父、兄、妹が自殺。犯人・青葉真司の身の上に起きていた死の連鎖
八王子中2女子いじめ自殺事件―この世界が、もっと不登校にやさしい世界だったら
三島バイク交通死亡事故―夫を事故で亡くしても、私は被害者にすらなれなかった
目黒5歳女児虐待死事件―なぜ気づけなかったのか。近隣住民の苦悩は今も続く
大阪姉妹殺人事件―2人の仇討ちのため、私は犯人の山地悠紀夫を本気で殺そうとした
著者等紹介
高木瑞穂[タカギミズホ]
ノンフィクションライター。1976年生まれ。月刊誌編集長、週刊誌記者などを経てフリーに。主に社会・風俗の犯罪事件を取材・執筆(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
くるぶしふくらはぎ
19
事件の関係者には一生消えない痛みを伴った記憶を残す。それを経年劣化させず、片面だけ面白おかしく伝えられた事件当時の狂騒に惑わされず、関係者の今を丁寧に追い、日影の声を表舞台で伝えることで、事件の深部を顕在化させる。趣旨には賛同。できれば、一つ一つの「声」についての深みが厚くなり、更に立体的に見えてくると、取り上げた「日影の声」が生きてくるように感じる。結局、ここでも一面的な「声」でしかなかった。「声」の苦しみは、もっと深く、本書では伝えきれなかった無念さが未だ沈んだままのような気がしました。2022/09/03
こうすけ
18
「大手メディアが報じない事実をつたえる!」という姿勢は共感でき、加害者の掘り下げには色々考えさせられる部分がある。が、被害者側の関係者のディテールを伝えることは、やはりもっと慎重になるべきというか、ある人のケースを見ていると世間から厳しい目線にさらされるのも否めないと感じてしまう(その人に罪はないけど)。むしろ、大手メディア側からすると、あえて報じないことが配慮なのではと感じた。WHOの自殺報道ガイドラインの解釈がずれているのも気になる。ただこうしたYouTubeのチャンネルがあるのは素晴らしいと思う。2022/08/20
香菜子(かなこ・Kanako)
17
日影のこえ メディアが伝えない重大事件のもう一つの真実。高木瑞穂先生の著書。重大事件はないに越したことはないけれど重大事件がなくなることがないのが現実。重大事件がなくなることがないのだとしたら重大事件の被害者家族や重大事件の加害者家族がさらに苦しむことがないように支えてあげることが必要。重大事件の内容だけを伝えるメディア。重大事件の被害者家族や加害者家族のその後をきちんと伝えることだってメディアの役割。高木瑞穂先生のような真のルポライターが増えることを願います。2022/10/08
メチコ
13
表立っては見えにくい数々の事件の背景やその後。 「京都アニメーション放火殺人事件」や「目黒5歳女児虐待死事件」など凄惨で記憶に新しい事件も取り上げられている。 被害者はすでにこの世になく、また周囲の人々の気持ちを慮れば込み入った取材が難しいことは想像に難くないのだけれど、それでも1つの事件で1冊作るぐらいの内容的な厚みが欲しかった。 どう転んでも被害者遺族に決して癒えることのない傷痕を残したまま、ただただ後味の悪さだけが残った。2023/05/16
DEE
8
重く読むのが辛い内容。吐き気すらしてくる。犯人が捕まろうが死刑になろうが、遺族の悲しみは微塵も変わることはない。日本の法律は被害者とその関係者にまったく優しくないと思い知らされる。2022/12/18