内容説明
大正時代を生きた人々に抉るような傷を与えた大逆事件。時代が再びきな臭さを増す今日、福島泰樹の眼の前に、死者がよみがえり、踊りながら歩き出した。ひらめくナイフの光のように危険な第三十一歌集。
目次
序(大逆の歌)
壱ノ章(鶏頭の歌;万物流転の歌 ほか)
弐ノ章(蒼ざめた馬の歌;白屋襤褸の歌 ほか)
参ノ章(一銭五厘の歌;パナマ帽の歌 ほか)
四ノ章(髑髏の歌)
著者等紹介
福島泰樹[フクシマヤスキ]
1943年3月、東京市下谷區に最後の東京市民として生まれる。早稲田大学文学部卒。1969年秋、歌集『バリケード・一九六六年二月』でデビュー、「短歌絶叫コンサート」を創出、朗読ブームの火付け役を果たす。以後、世界各地で朗読。全国千五百ステージをこなす。単行歌集三十一冊の他、著作多数。毎月10日、東京吉祥寺「曼荼羅」での月例短歌絶叫コンサートも三十四年目を迎える(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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あや
3
福島泰樹さんは私の母より少し年下でごく幼い頃お母さまを亡くされている。大正という時代を描き出す。まるでレリーフのように。かつて確かにあった時代を書き継ぐという大作。戦争と戦前と戦争と戦争の間と。私の年齢ではその時代のすべてを理解し読解することは困難だけれど確かにあった時代の断片的なキーワードを探求することによりその時代のありようを正確に理解するとっかかりになるかもしれないとてもありがたい良書。2020/03/15
あや
3
以前須賀敦子さんが詩とは彫刻のようなものと書かれていたけど大正という時代を彫刻で描き出したような歌集。2019/11/11