目次
おとうとのまはらぬ筆に背戸の柿赤らみたりと書きて於古せぬ
早少女は今日植ゑそめと足引の山田の神にきみ奉る
みんなみの嶺岡山の焼くる火のこよひも赤く見えにけるかも
朝な朝な牛を牽き飼ふみちのべの小草の露の寒きこのごろ
山行くとくぬぎの若葉萩若葉扱きつつもとな人わすらえず
ふるさとに帰れるその夜わが庭の椎の若葉に月おし照れり
皐月空あかるき国にありかねて吾はも去なめ君のかなしも
甕ふかく汲みたる水の垢にごりさびしき恋もわれはするかも
あからひく日にむきたてる向日葵の悲しかりとも立ちてを行かな
ひとり身の心そぞらに思ひ立ちこの夜梅煮るさ夜更けにつつ〔ほか〕
著者等紹介
加茂信昭[カモノブアキ]
1951(昭和26)年千葉県に生まれる。1975(昭和50)年國學院大學文学部卒業。1976(昭和51)年「青垣」に入会し、橋本徳壽に師事。「青垣」編集発行人、千樫会会長、現代歌人協会会員、日本歌人クラブ会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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