感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
双海(ふたみ)
8
この前全集で読んだけど単体で欲しくて。ちょうど紀伊國屋書店にあった。ラッキー!手元に置いておきたい歌集になった。装幀もシンプルながらどこか可愛い感じでよい。2023/06/06
yumicomachi
3
昭和32年刊行の第一歌集が平成6年再刊されたものを平成29年文庫化。松田さえこは現在の尾崎左永子である。喪失感や渇望感を湛えつつ、端正であり過不足のない表現が手渡される。著者20代の歌集とは信じ難い程である。〈葉脈のあらはにみゆる柿紅葉あかるき昼の雨に濡れゐる〉〈戦争に失ひしもののひとつにてリボンの長き麦藁帽子〉〈均衡は保ちがたくて皮青き梨を剥きつつ切実に居り〉〈告ぐることなくて過ぎなむ想ひにて孤りの夜の心を充たす〉師・佐藤佐太郎による序があり、文庫版解説は大森静佳。2018/08/24