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とてもしずかな心臓ふたつ

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  • サイズ 46判/ページ数 216p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784865284782
  • NDC分類 911.168
  • Cコード C0092

出版社内容情報

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短歌ブーム前夜の2000年代初頭、インターネット上に彗星のように現れた歌人・村上きわみ。歌集未収録作品をあらたに編集した『とてもしずかな心臓ふたつ』、絶版歌集『fish』『キマイラ』を一冊にまとめた決定版。

別冊栞 村上きわみ一首評:穂村弘・田中槐・枡野浩一・岡野大嗣・平岡直子


【収録短歌より】

次に来る波をむかえにゆきなさい尾を高くしてわたしのけもの

なつかしい未来 あなたともう一度にくんだりあいしあったりしたい

そうでした 最後に見せてくれたのはこの世のへりをつかむ足指

心臓をまもって歩くけものたち(夏のいのちはいたみやすいね)

靴紐をきつく結んだ 好きでいることを謝りたいひとがいる

白湯で溶く蜜のぬめりのどんなにかくるしいだろう ふゆがはじまる

水の襞ひどく乱して白鳥は今いっしんに飛び立つところ

欲望、おまえが口にするときの奇妙な涼しさを信じよう

灯台の胴に巻きつく海風の、そうだね、すべてくつがえしたい

こちらからあちらの岸へ にくたいはすずしい舟とあなたは言った

よいつらら育つ真冬をありがとう ひどいことたくさんありがとう

魚の声鳥のことばでかわしあう約束ならば未来のために


【著者紹介】
村上きわみ(むらかみ・きわみ)

1961年生まれ、北海道出身。北限短歌会、ラエティティアを経て、2011年、短歌結社「未来」入会。2012年、未来年間賞受賞。歌集に『fish』『キマイラ』。2023年逝去。

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