出版社内容情報
目の前の日常から、ここではない日常に。
わたしたちが日々のなかで思い、交わし、つぶやく、なにげない言葉のすべてが詩になる――ドミニク・チェン
2011年短歌研究新人賞最終候補作となった表題作、書き下ろし作品を含む235首を収録。
起動したばかりの画面。デフォルトの状態。テストパターン。本当は何も書きたくないのに、〈私〉がやってきて、指がクリックする。スイッチがONになる。0が1になる。オブジェクトが生まれる。大袈裟だと思う。短歌を詠むだなんて。(著者あとがきより)
〈収録作品より〉
真夜中にアナウンサーが喋るからそれを流して過ごす真夜中
僕たちの恋の終わりや始まりのまさにその瞬間にCM
バスタオルきれいにたたむ 空港に住所があるのを認められない
AならばBでありかつBならばAであるとき あれは彗星?
問い合わせが殺到したという曲を僕だって何回も聞いていた
2.で「はい」と答えた方にお聞きします。いいえと答えたのでとばします
Googleのロゴで初めて名前を知った科学者だがその業績は素晴らしい
晩年は神秘主義へと陥った僕のほうから伝えておくね
クリスマス・ソングが好きだ クリスマス・ソングが好きだというのは嘘だ
本当に大事なものはいつだって名前 それが二つある犬
本日の放送は終了しました。私はまだ、考え事をしています
【著者プロフィール】
佐クマサトシ (サクマ・サトシ)
1991年宮城県仙台市生まれ。2010年、早稲田大学入学とともに早稲田短歌会に入会、作歌を始める。大学在学中に同人誌「はならび」に参加。2018年に平英之、N/W(永井亘)とともにWebサイト「TOM」を開設、2020年まで短歌作品を発表する。
内容説明
新世代の歌人として最注目の著者、待望の第一歌集。
目次
(標準時;接近はするがしかし重ならない;風も吹く;solution;still/scape;さらにラジカルに何もしない)
2(vignette;内容だけのものが動いている;すべての可塑的な者たちに告ぐ;ただ言葉は老いて西へ;slice of;スモール・スキップ)
感想・レビュー
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qoop
トマス