内容説明
軍事プロジェクトとの連携、監視社会と黒人の大量収監、先住民の土地を奪い、資金調達。人種、ジェンダー、階級―白人男性を中心に進められてきたAI開発が隠してきたイデオロギー。
目次
第1部 形成(帝国に仕える;資本に仕える)
第2部 AIの「自己」と社会秩序(認識に関する捏造と機械の中の幽霊;廃止ではなく適応を―批判精神をもったAI専門家と監獄肯定の論理;人工的な白人性)
第3部 別の選択肢(反対意見からのビジョン―オートポイエーシスから見た愛について、そして身体化された戦争;拒否することの生産性)
著者等紹介
カッツ,ヤーデン[カッツ,ヤーデン] [Katz,Yarden]
2014年にマサチューセッツ工科大学の脳神経科学の博士号を取得。ハーバード大学医学部システム生物学部門の研究員を経て、現在はミシガン大学アナーバー校のアメリカ文化学部とデジタル・スタディーズ研究所で教鞭をとる。『AIと白人至上主義―人工知能をめぐるイデオロギー』が初邦訳
庭田よう子[ニワタヨウコ]
翻訳家
下地ローレンス吉孝[シモジローレンスヨシタカ]
1987年生まれ。現在はハワイ大学客員研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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perLod(ピリオド)
6
原著は2020年、邦訳は2022年。現代は『ARTIFICIAL WHITENESS Pokitics and ideology in Artificail Intelligence』。本書は純粋に技術的な内容を取り扱っている訳ではなく、AI史とそれの持つ政治性(人種やジェンダー)を明らかにしているので、それに興味が無い人にはまったく薦めない。というよりも「主流派メディアのニュースに根本的な疑問を持たない人」にはにわかには信じがたい内容ばかりとなっている。→2023/12/07
Bevel
4
背景にあるのがリプッシツの「白人性」の議論になると、どこか地に脚がついた感じになるのは不思議。お金の流れ方からAIに帝国主義・資本主義性を見いだし、それをAIに関する言説にまで結びつけるのは納得感があった。認知科学のオートポイエーシス系の議論も、結局その内側に社会性の議論を欠いているので、共犯感が否めないというも、そうだなあと。カッツ氏の主張は、大学周辺に巣をつくりがちな軍産学の複合体が用いる「AI」という言葉への拒否なのかなと思った。アカデミズムの誠実さとしては、この言葉を使わないのが大事かもなと。2022/12/21