内容説明
なぜ八っつあんと熊さんの会話は面白いのか。約束と想像が創り出すアナログ文化の粋と洒落。
目次
第1話 志ん生の「フラ」と文楽の「本寸法」
第2話 遠くて近きは男女の仲 近くて遠きは夜の火事
第3話 丁半からはんちくまで 「半の字物語」
第4話 大江戸外食事情 食と酒の世界
第5話 偉大なる「非標準語」関西弁 アホとボケの偏差値
第6話 けちん坊、あわてん坊、泥棒
第7話 耳から入る古くて新しい日本語の美学
第8話 まくらとさげ(おち)の研究
著者等紹介
重金敦之[シゲカネアツユキ]
1939年東京生まれ。慶應大学卒業。朝日新聞社入社。「週刊朝日」在任中に松本清張、池波正太郎、結城昌治、渡辺淳一など多くの作家を担当した。常磐大学教授を経て、文芸ジャーナリスト。日本文藝家協会会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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fwhd8325
62
話し言葉も変化していることを強く実感しました。私自身も職場で30年近く年齢が離れていると通じない言葉があることを経験しています。落語の世界も同じで、噺家さんによっては、言葉の意味を説明してから本筋に入る方もいらっしゃいます。わからないから伝わらないことはあるけれど、そこに想像が働くことも大切だと思います。使われなくなった言葉の中には、そこに言葉が伝える姿を感じさせるものもあります。2021/01/08
いづむ
8
落語に出てくる言葉や表現や洒落は今ではなじみがなく通じなくなってしまったものも多くあります。でも本書で噺とともに挙げられたものを読むと、日本人が営んできた生活や習慣に根ざした言葉の豊かさと遊び心に興味がつきず自分も真似してみたくなる表現がいっぱい。衣食住など生活様式や地域性などがどんどん均一・簡素化していくにつれて言葉も単純化していくのはもったいない!細かい意味がわからなくても落語を通して耳慣れていたいし、こうして書物で意味や背景を知るのを止めたくないものです。2022/11/05
アオイトリ
6
お酒をつまみにいつまでも聞いていたいような面白い落語談義。さすが編集者、言葉に対する造詣の深さにうっとり聞き惚れました。友人シンちゃんの合いの手で、緩急をつけているあたりは落語を聞いているようです。2021/04/07
Kazuo Ebihara
1
落語の噺に出てくる江戸言葉の表現、符丁、方言、接頭語、隠語などを取り上げ、 その用法や類語、語源について解説しています。 本書が取り上げた噺は75、言葉は130あまり。 落語はさげで観客をくすりとさせて締める時、 ふたつの意味がある言葉を使うことも多いですが、 これを瞬時に理解するには江戸言葉の知識を深めることが必要ですね。2023/06/12