目次
1(ワールドイズファイン;シティトライアル;cube;モード;Singin’ in the rain;スペシャルサンクス;雨が降ったら;冬の炭酸)
2(寿司以降のcolor space;犬とヨットの風景;たくさんのココアと加加速度;生活の修辞学;さらに音楽は鳴り続ける;大技;かまわない;暗算;手紙)
3(緑のベンチと三匹の犬;自然;こしあんと思案;Sit in the sun;盆暗;凸凹;レモン)
著者等紹介
阿波野巧也[アワノタクヤ]
1993年大阪府生まれ。2012年、「京大短歌会」、「塔」に入会。2017年、「京大短歌会」卒業。2019年、「塔」退会。現在は同人誌「羽根と根」に所属。2015年、第五回塔新人賞。2019年、第一回笹井宏之賞にて永井祐賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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だいだい(橙)
15
先日の文学フリマで購入した歌集。友人に勧められた。読んでみたら、うーん。書店にも並んでいるので、そこそこ評判はいいのだろうけど、言葉を適当に組み合わせてる感じが否めない。胸に迫ってくるものがない。好きな歌もない。軽い。ごめんなさい、要は合わなかったってことかな。2024/09/29
太田青磁
12
ストローを刺してあふれるヤクルトの、そうだよな怒りはいつも遅れて・すべてのものが立体的に見えすぎてこまる 微熱でゆく並木道・川は川をただ運ぶのみその様をきみに頭をあずけて見ていた・曲がらなきゃいけないところを過ぎてしまうごめんねってメールを打ちながら・四角いケースを背負った女の子のたぶん楽器だな、抜けていく改札・すこしも役に立たなそうなものになりたい ペットボトルをひねるつぶれる・猫耳のままでお店を出たひとがたばこをくわえて外す猫耳・砂利道の上にもみじが散っていてしゃがんできみは撮る それを撮る2020/12/26
コンチャン
10
名のある歌人の方が作る短歌に比べれば、ストレートにわかりやすい作品が多いような気がするのは、作者が若い、ということもあるのかと思います。そのわかりやすさ、というものが馴染みのないひとたちにとっては入っていきやすいものになるのだろうと思います。2021/07/11
駒場
7
温度も湿度も高すぎない平素の若者の生活、というかんじの歌集。ところどころ情景を思い浮かべにくいところがあって、出身をみたら京都とのこと。鴨川のある街の歌人。東京の歌人がうたう歌をそのほかの地域の人が100%で受け取れない、みたいなことなのかもしれない。/モノレールが夜景をひらく この町と知らない町の緩い連続/奪ってくれ 僕の光や音や火が、身体があなたになってくれ/帰省した部屋のソファーでねむるとき匂いはしてももういない犬/猫耳のままでお店を出たひとがたばこをくわえてはずす猫耳2024/04/09
ぷほは
7
ビギナーだから定型に関心がないのか、というとそうでもなさそうだ。表紙の80年代シティポップのようなイメージを持っていると中身の素朴さに驚くことになる。ワードのチョイスに消費社会の神話を読み込もうとすると、生活の中の落ち着きに面食らうことになる。何より印象的なのは、ニューウェーブ系以降に見られたドラえもんとか鉄腕アトムとかブーフーウーとか、マスメディア・サブカルチャーの固有名詞が見当たらないこと。恐らくそれらが不特定多数の心情を表象しうるという感覚自体が失われている。あるのは『モチモチの木』くらいのものだ。2021/03/13