目次
ハワイ―海に浮かぶ花びら
蘭嶼―アリバンバンの島
著者等紹介
管啓次郎[スガケイジロウ]
1958年生まれ。詩人、比較文学者。明治大学理工学部教授(批評理論研究室)、理工学研究科新領域創造専攻教授(コンテンツ批評、映像文化論)。ASLE‐Japan文学・環境学会代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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石油監査人
14
題名の蘭嶼(らんしょ)とは、台湾本島の南東沖にある孤島です。著者は、比較文学者で詩人、明治大学の教授でもあります。この本では、ハワイと蘭嶼という二つの島の文化と歴史について、旅の思い出や美しい写真を交えて楽しく語っています。ポリネシア系の文化をベースに、日系やプエルトリコ系など移民の文化がモザイクのように美しく混じり合うハワイと、フィリピン系の多島海漁労文化圏の独特の神話や食文化を持つ素朴な蘭嶼の人々との対比が印象的です。特に、蘭嶼は、タオ族のカヌーや地面に埋まったような住居などに、興味を惹かれました。2021/12/21
スミス市松
9
旅の帰りの道中で読んでいて、飛行機が羽田に着陸した瞬間と本書で著者たちが乗るプロペラ機が旅先の土地に着陸した瞬間が重なった。一つの旅の終わりは別の旅の始まりで、もっと言えばそれはもうずっと前から始まっていると今更ながら実感する。久しぶりに著者の旅行記を読んだが、やはりこの人の本分は旅であり、旅を書くことだと思う。とりわけ後半部の旅行記は散文家・管啓次郎としての感性が素朴ながらも最良の形で描出されていた。場所は台湾・蘭嶼。トビウオの神話に導かれ、人々と出会い、光と風を受け、島々の連結・連帯を夢見る。2023/05/05
aloha0307
7
邦銀から米銀本店への転職で、29才で初めて飛行機に乗った。 その後、35才で初めてオアフ島へ旅...以来、数回ハワイを来訪 買い物などには目もくれず、ローカルの衣食住を家内と求めた...つもりであったが、本書を読んで最も大切なハワイ日系人の生きざまを看過していたことを思い知らされた。 墓碑に”無名人”と刻まれたお墓が並ぶ写真にはこころが揺れに揺れた。 並列された 蘭嶼 とは台湾南端の小島。 この島の温度と湿度、香りをドンピシャで伝えている。2015/04/05
gu
3
「変化した自分はもう昔の自分ではなく、少なくともさまざまな芽生えがあちこちに生じてギザギザしたかたちになっていて、それでまたどのようにでも別の未来につながってゆく可能性ができる。旅というむだな日々は少なくとも自分を洗い自分を作る諸要素をシャッフルすることに役立ち、その上できみに小さな方向転換を強いるのだ」2016/06/01
kana0202
2
とてもイイ、圧倒的に何かに出会ってしまうことが旅なのだろう。そして土地のことを知るということがいかに紀行に厚みをもたらすか、文章に厚みをもたらすか、ということがよくわかる実例。行ってるときでも帰ってきた後でも学び続けなければ出会いの強さも弱くなるのだろう。2022/08/24