目次
1(雪の日々;ハリボー ほか)
2(かっこいいデ・ニーロ;電話をかける ほか)
3(それぞれの20首;12首のリズム ほか)
4(12首もある;ほうじ茶 ほか)
著者等紹介
永井祐[ナガイユウ]
1981年生まれ。2000年ごろに短歌をはじめる。学生のときは早稲田短歌会に所属。2001年、北溟短歌賞次席。2004年、歌葉新人賞最終候補。2012年、歌集『日本の中でたのしく暮らす』(BookPark)。2019年から笹井宏之賞選考委員。ガルマン歌会などで活動(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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けんとまん1007
53
短歌を自分で詠むわけではないが、細く長く、短歌集を手に取ることが続いている。少しずつ、短歌のイメージがほぐされてきている。この歌集も、そんな1冊になる。日常の切り取り方が、そうそう・・と、思うことが多い。もちろん、表現自体は、なかなかこうはできないが、自由律にも近いように思うし、こんな風に詠めばいいのかなと思わせてくれる。日々の暮らしの中で思ったこと、感じたことを三十一文字風に考えてみようかな。2023/03/28
ポテチ
26
少なくてもいいという意味もできるだけ込めて好きなだけ食べてと言おう/守らなくていい約束 守れる約束 リスクのない約束はだめです/前を向いてしゃべってるから聞こえない 聞こえませんと笑ってくれる/自分の心情に近いものを三つチョイス。とにかくのんびり、穏やかでキュートだ。2021/01/27
ちぇけら
21
チーズバーガーのつつみを開けているきみと過ごした一夜のように。考え事をしているうちに夜は明けた。開け放った窓から零れてくるのは風のような光。あるいは光のような風。飽和と調和が靡いた部屋で起き上がる。熱いだけのコーヒーを飲み、昨晩のコンビニの無機な照明を思う。絶望しても世界はどこまでも続いているし、わたしの知らないところできみは笑っているし、9月のカレンダーをめくるとどこだって10月の粒子が鎮座しているんだ。古いジャケットを取り出すと、ずっと前のきみのにおいがした。記憶って香るんだな、どうでもいいんだけど。2021/10/03
太田青磁
15
高校楽しくなかった人と高校すごく楽しかった人が10年後エアホッケーをするかもしれない・最寄りの駅にも出かけた駅にもヨーカドーにも喫煙所にもねこじゃらし・キャッチャー・イン・ザ・ライ的なことを僕はして帰りに買ってきた参鶏湯(サムゲタン)・喫煙は深呼吸であり僕向けのドラッグ 休みの日に外で吸う・この曲を聴きながらときどき頭をかいたりしながら道路沿いに歩いてみてほしい・友人のあだ名はリズム 友人の名前はまさし まさしのリズム・リモコンで停止してからエアコンの白いボディが浮き上がってくる
米笠鹿
9
日常に寄り添った作品が多い。普段は目も向けないような景色や感情だけれど、短歌の形にパッケージングするだけで魅力的にみえるのは、技量のなせる業なんだろうな。「あのときああでよかったなっていうような今だといいなと思うと思う」「あなたといるとわたしは面白い人にいつもなれるのはどうしてだろう」あたりがとても好き。2022/06/20