内容説明
ゴーゴリ、キレエフスキー、レオンチェフ、トルストイ、ドストエフスキー。オプチナの霊の子たちと呼ばれるかれらが獲得したものとは。ロシア正教会の修道制の中でも特異な位置を占めている長老制の歴史的・宗教的意義を、その最大の中心地であったオプチナ修道院との関係において考察しつつ、それがロシア文学・思想にもたらした影響について考察していく。
目次
序章 概括的展望 オプチナ修道院とロシア知識人
第一部(ロシア正教と禁欲主義の伝統―ロシアにおけるフィロカリアの受容について―;イイススの祈りと「知恵のいとなみ」―ビザンツとロシアの祈りのコスモロジー―;近代ロシアの修道制と長老制の発展について―オプチナ修道院前史より―)
第二部(キレエフスキーの正教思想とオプチナ修道院―妻ナターリアやマカーリイ長老との霊の交流の記録から―;ゴーゴリの宗教的世界観―聖地巡礼からオプチナ修道院へ―;レオンチェフの思想遍歴とオプチナ修道院;レフ・トルストイとロシア正教会;ドストエフスキーとオプチナ修道院)
第三部(オプチナ修道院における聖師父文献の出版事業(一)―パイーシイ・ヴェリチコフスキーからキレエフスキーにいたる聖師父文献の翻訳史をめぐって―
オプチナ修道院における聖師父文献の出版事業(二)―ロシア修道制の発展における祈りの定義とキレエフスキーの思想形成への影響をめぐって―)
著者等紹介
清水俊行[シミズトシユキ]
東京外国語大学ロシア語学科卒業後、同大学修士課程を経て、一橋大学大学院社会学研究科博士課程を満期退学。89年から文部省国費留学生(第一期)として、モスクワ大学文学部に留学(ソ連崩壊の1991年まで)。その後、防衛大学校に4年間勤めた後、神戸市外国語大学ロシア学科で助教授を経て、教授(2024年度まで)。専門は19世紀ロシア文学、ロシア正教と文学の関係史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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