出版社内容情報
ロシアとは何か。その最初期の歴史を検証する。
キエフ・ルーシの歴史は、これまでスカンディナヴィアからギリシアに至る南北の道を中心として描かれてきた。本書は従来見過ごされがちであった西方ヨーロッパとの関係(東西の道)に重点をおいて見直しを試みる。キエフ・ルーシが、それ自体形成途上にあるヨーロッパの一員としてその歴史的歩みを始めたことを示していく。
目次
序 本書のねらい
第一章 キエフ・ルーシという国
第二章 初期ロシア史に関する史料と「ルーシ」
1『ロシア原初年代記』あるいは『過ぎし年月の物語』について
2 ヨーロッパ史料における「ルーシ」
補論1 ルーシ諸公の称号「カガン」と「クニャージ(公)」について
補論2「ヴァリャーギ招致伝説(物語)」について
第三章「ルーシの洗礼」以前のキリスト教(1)
1 聖アンデレ伝説および初期の諸情報
2 キュリロス─メトーディオスとルーシ
第四章「ドイツからハザールへの道」上のルーシ
1 ルーシと西方諸地域──『原初年代記』における「チェヒ」、「リャヒ」
2 「ドイツからハザールへの道」
第五章 オリガの洗礼──「ルーシの洗礼」以前のキリスト教(2)
1 摂政オリガ
2 オリガの洗礼
3 オリガとスヴャトスラフ
第六章 ヤロポルク・スヴャトスラヴィチ公(九七二─九七八年)
第七章 ウラジーミル・スヴャトスラヴィチ公と「ルーシの洗礼」
1 キエフへの道
2 治世初期のルーシと国際環境(九七〇年代末─九八〇年代)
3 「ルーシの洗礼」
第八章「呪われた」スヴャトポルクとヤロスラフ「賢公」──大公位継承争いと「ボリス・グレープ」崇拝の成立
1 ウラジーミル没後の状況
補遺 『エイムンド・サガ』──要約とイリインの解釈
2 ボリス・グレープ崇拝の成立
第九章「賢公」ヤロスラフ・ウラジーミロヴィチ
1 ヤロスラフによる単独支配の樹立
2 ヤロスラフ「賢公」
補論1 ビザンツ・ルーシ関係をどうみるか──ルーシ「従属国家」論について、またロシアに対するビザンツの影響の問題をめぐって
補論2 初期ルーシにおける記述文化の普及をめぐる問題
第十章 ルーシと西方諸国
1 ルーシとスカンディナヴィア
2 ヤロスラフと西方諸国──ヤロスラフの「婚姻政策」と外交
3 ヤロスラフ後の事例──ドイツ皇帝ハインリヒ四世とキエフ大公フセヴォロド・ヤロスラヴィチの娘エウプラクシヤとの結婚
補遺 キエフ・ルーシ諸公家の外国諸家門との姻戚関係(表と解説)
第十一章 ヤロスラフ後のルーシ
1 ヤロスラフの「遺言」と子らの世代
2 ヤロスラフの孫の世代──リューベチ諸公会議(一〇九七年)とその後
3 ウラジーミル・モノマフの時代
補論 ヤロスラフの「遺言」の歴史的意義──「共同領有制」および「年長制」の問題をめぐって
第十二章 一〇五四年と一二〇四年──離間するルーシと西方世界
1 東西両教会の分立とルーシ
2 十字軍とルーシ
3 ルーシからの「聖地」巡礼とその終焉
結語
付録
(1)地図 (2)系図
あとがき
文献一覧
索引
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