内容説明
好きすぎて、もう何が何だか。「揚げ文学」ここに誕生。油揚げのことばっかりを書いた29編。
目次
じめじめと湿った
暮れのなます
こんこん
名前
お勝手をする
皺のなかの話
いなり寿司を買いにいく
伊東駅で
ユリイカ!
松山あげのこと
ジンバリ
似合うひと
鮭と豆腐
りんごの木の下で
浜子さん
かやく
まるかじり
イノシシと花畑
山のひと
江戸から始まった
今日もミナミ
よもだの精神
三杯のうどん
きつねの故郷
油揚げカレー!
曖昧さの意味
おあげさんといっしょ 日々の料理
三十五年来の友人と話す おあげのこと
二枚あれば三合飲める
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シナモン
113
一冊まるごと油揚げ。日本各地にはさまざまな油揚げがあるのだなぁ。我が新潟県の「栃尾のあぶらげ」も載ってて嬉しい。大きいことで有名だけど、煉瓦にたとえるとは。なるほど。巻末のレシピもそそられる。豊かな語彙力とさすがの表現力が光る一冊でした。 2024/02/06
ばう
79
★★★ 「じめじめと湿ったまっ暗な道を…」と何やらサスペンス調で始まるけれど全編油揚げの話です。平松洋子さんのお揚げさん愛が止まらない1冊。全てのエッセイが油揚げに関する話で、ちょうちんブルマーや萩原健一や「上海バンスキング」までお揚げさんに繋げてしまうとは。いやはやもう私もお揚げさんの前にひれ伏すしかありません。とにかく今は大阪できつねうどんが食べたいのと松山あげをスーパーに探しに行きたい気持ち。巻末のレシピ集もメモメモ。「油揚げ2枚で3合飲める」は名言ですね。これもしっかりメモさせていただきました。2023/01/11
Ikutan
71
読友さんのレビューで気になっていた油揚げにまつわるエッセイ。平松さんのおあげさん愛が溢れています。おいなりさんやきつねうどんはもちろん、内田百閒先生おすすめの、そのまま焼いてお醤油で食べる『ジンバリ』が美味しそう。煮物はよく作るし、炊き込みごはんにも欠かせないけれど、和え物でもいい仕事してくれるんですね。お豆腐部分をこそげ落として一緒に和えるという料理研究家の浜子さんの和え物も試してみよう。厚揚げやがんも(ひろうす)も大好き。『松山あげ』って知らなかったけど、食べてみたい。何とも、お腹のすく一冊でした。2023/08/02
よこたん
51
“揚げの汁気がね、すごいんです。たっぷり染みこんでいて、じゅわーっとしているんです、一個一個のいなり寿司が。あれはすごいです” おいなりさん、買ってきた(特にジューシーではなかった…)し、なすとあげさんの炊いたん(こちらはそれはもう揚げを満喫)をした。全て油揚げにまつわるエッセイ。平松さんのおあげさん愛に脱帽。町のお豆腐屋さんが身近だった頃に、もっと食べておけばよかった。焼いて生姜醤油を垂らす、こんがり炙った揚げと胡瓜をごま酢で和える、出汁を存分に吸った煮物、甘辛い汁とともに噛みしめるきつねうどんが好き。2022/08/31
たまご
38
冒頭、じめじめした暗い道を這うように進む不穏な描写から始まり、あれ、これは油揚げの話ではないのかと思うと… 平松さんの術にかかりました! 噛み締めるほどじゅわんとでてくるお出汁のごとく、平松さんからあふれでてくるおあげさん愛。ヒタヒタに浸りました。おかげで今日、おあげさんを煮ましたよ。七味と、山椒とイタリアンパセリと合わせて頂きました。明日は江戸菜と合えます! 巻末のレシピも必作ですね!2023/01/14