内容説明
現役女子大生にして、売れっ子の高級娼婦、「シンシア」。私の部屋には、さまざまな男が訪れる。私の望みは、もっと美しくなること。そして、いつまでも永遠に若くいること。そう、私はいつも、手に入らないものだけが欲しいのだ。自身を取り巻く絶望と闘いながら、わずか36年の生涯を駆け抜けたネリー・アルカンを一躍ベストセラー作家たらしめた、衝撃のデビュー作!!
著者等紹介
アルカン,ネリー[アルカン,ネリー] [Arcan,Nelly]
1973年カナダ、ケベック州生まれ。2001年フランスの名門出版社Editions du Seuilに原稿を送ったところ、2週間で出版が決まり、『ピュタン』(原題「Putain」)で作家デビュー。フランスでもっとも権威のある文学賞、メディシス賞とフェミナ賞の両方にノミネートされ、一躍有名作家の仲間入りを果たす。同時に、オートフィクションだったため、元高級娼婦である彼女自身にも、多くの注目が集まった。2009年9月24日、自宅アパートにて首を吊り自殺をしているのが発見される
松本百合子[マツモトユリコ]
上智大学仏文科卒。商社勤務、女性誌ライターを経て翻訳者に。2001年よりパリに暮らす(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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せんべい
12
作者自身を題材にした小説(オートフィクション)とのこと。 女子大生にして売れっ子の高級娼婦が、自分の気持ちを赤裸々に書き綴っている形式。彼女の心底には父母から愛されず、次第に彼らを嫌悪し自分も落としめている気がした。 娼婦の仕事では認められ金は手にするが、逆に手に入らないものが極端に欲しくなり、同時に老いを恐れるようになる。 様々な客から男という生き物を(勝手に)見限り、もっと美しくなること、いつまでも若くいることのみに心血を注いでゆく。 作者自身36才で自殺したそうで、太宰の『人間失格』を思い起こした2017/10/01
Brush_Dog
0
まとまってないのに読みやすい不思議な文体。日記を盗み読んでる感じ。これは娼婦の必読書です2020/04/15
みなもと
0
今までに見たことのない類の文章と文体だった。ひたすら繰り返される両親への愛憎の表現、孤独感、自分をさらけ出すことができないもどかしさ、それらが句読点をほとんど挟まない超長文で書き連ねられており、筆者の激情や不安定な感じが表れていた。 娼婦の独白という形で書かれている文章だが、現代で誰もが感じ得る孤独感や承認への欲求といったものに通じていると感じた。