内容説明
優しさに満ちたトランスジェンダーのリンコと彼女の心の美しさに惹かれすべてを受け入れる恋人のマキオ。そんなカップルの前に現れた愛を知らない孤独な少女トモ。桜の季節に出会った3人がそれぞれの幸せを見つけるまでの心温まる60日間を描いた物語。
著者等紹介
荻上直子[オギガミナオコ]
長編劇場デビュー作『バーバー吉野』(03)でベルリン国際映画祭児童映画部門特別賞を受賞。『かもめ食堂』(06)の大ヒットにより、日本映画の新しいジャンルを築く。『めがね』(07)は、海外の映画祭でも注目を集め、08年サンダンスフィルム映画祭、香港映画祭、サンフランシスコ映画祭などに出品され、ベルリン国際映画祭では、ザルツゲーバー賞を受賞した。『トイレット』(10)は、第61回芸術選奨文部科学大臣新人賞を受賞し、『レンタネコ』(12)は第62回ベルリン国際映画祭パノラマ部門に正式出品された
百瀬しのぶ[モモセシノブ]
フリーライター。日本大学芸術学部文芸学科卒業
今日マチ子[キョウマチコ]
漫画家。1P漫画ブログ「今日マチ子のセンネン画報」の書籍化が話題に。4度文化庁メディア芸術祭審査委員会推薦作品に選出。戦争を描いた『cocoon』は「マームとジプシー」によって舞台化。2014年に手塚治虫文化賞新生賞、2015年に日本漫画家協会賞大賞カーツーン部門受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ケンイチミズバ
117
チンコとオッパイは人間の基本だ。温かくて優しさに溢れた「変態家族」の数日間でトモちゃんはクラスの友達なんか及ばないくらい大人に成長したはずだ。リンコさんが乗り越えてきたもの、マキオ君の真剣な気持ち、二人の関係は絶対にだれからもとやかく言われるものではない。オチンチンを切っても母親になることだけはできないという言葉には読んでいて心に刺さりました。しかし、いいやそんなことはない、大切な人を大切に思う強い気持ちさえあれば母親にもなれるとすら思えました。カイ君の存在もいい!女とか男とかもはや関係ない。応援します。2017/04/24
nico🐬波待ち中
101
トランスジェンダー物を読んだ時いつも思う。私はたまたま「女」に生まれたけれど、この人達に根本の所で「女」の部分が負けている…。何故自分は「女」として生まれてこれなかったのか。子供の頃から悩み様々な嫌がらせを受けるリンコ。そんなリンコを丸ごと受け止め、真っ直ぐ愛情を注ぐ母フミコや恋人マキオの存在はとても羨ましい。そして戸惑いつつもリンコに素直に甘えるようになったトモ。この二人のやり取りは実の親子でないからできることなのかも。私も気持ちを平らにするため編み物をしようかな。何度も泣けた物語。映画もいつか観たい。2017/03/25
あも
95
こんな心の人を好きになると、それ以外のことはどうでもよくなる。_たまたま見たCMで生田斗真すげー!観たい!と思いながら観れず仕舞いだった映画のノベライズ。じんわり優しく心に染みた。母子家庭に暮らす小学5年生のトモ。母が育児放棄して男とどこかへ消える度に叔父のマキオの家に。今回そこにはマキオの恋人・トランスジェンダーのリンコさんがいた。苦しさを知っているから優しくなれる。強く笑える。差別や家族のあり方、大事な事が詰まっていて心が暖かくなった。ストーリーを知った上で、更に映画を観たくなる。理想的なノベライズ。2018/06/26
大福
85
息子が朝読書で読んでいた本。トランスジェンダーのリンコとそんなリンコを全て受け入れてるマキオ。そしてマキオの姪っ子でシングルマザーの母親に育てられているが母親の愛情を知らないトモ。この3人がそれぞれの幸せを見つける60日間の物語。色々な想いが詰まっていて読んでいても心が温まりすごく良かった。ぜひ映画を観てみたいと思いました。2018/02/04
のんき
85
小学生のトモは、母親の愛情を知りません。一緒に住んでいた母親が家を出て行き、戻ってきません。トモは、リンコとマキオと暮らすことに。ほんとの母親のように、リンコは、トモにご飯を作りました。キャラ弁を作りました。トモの髪を可愛く結びました。編み物を教えました。母親には、されたことがなかったことばかり。そんなリンコとトモの別れは、つらく切なかったです。でも、リンコとマキオとの暮らしは、トモにとって幸せな時間だったと思うし、一生忘れないと思いました2017/10/26