内容説明
北海道のソラチという町で、ワイン作りにすべてをかける兄アオと、地に足をつけ麦を育てる弟ロク。そこに旅を続ける女性エリカがやってくる。「幸福」を大切にするエリカの生き方は、兄弟の静かな生活に新しい風を起こす。生きていくために本当に大切なものは何か?様々な“なみだ”が心を捉える物語。
著者等紹介
三島有紀子[ミシマユキコ]
大阪府生まれ。18歳から8ミリのインディーズ映画を撮り始める。大学卒業後NHKに入局し、11年間主にドキュメンタリー番組を中心に手がける。「映画を撮りたい」という思いから独立。助監督をやりながら脚本を書き続け、2012年には映画『しあわせのパン』でオリジナル脚本・監督をつとめる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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- 評価
柊文庫本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
とし
155
ぶどうのなみだ。三島有紀子さん「しあわせのパン」とで2冊目。エリカ・アオ・ロクさん、それぞれの立場で書かれていて読みやすかったかな、(人の心を動かすのは、言葉であり、行動であり、そこの根にある愛なのである)良いですね。2015/04/04
ゴンゾウ@新潮部
101
美しい物語なんだけど現実味に欠けるのがとても残念。アンモナイトを掘り続けて世界を旅をするエリカと音楽を諦め故郷ソラチでいちからワイン作りに没頭する青年アオ。衝突から始まったふたりが徐々にお互いを受け入れてかけがえのない存在になっていく。そして頑なだったアオの心が開いて優しくなっていく。ぶどうのようにワインのように。折り合いをつけないために旅立ってしまうエリカ。離れていても結ばれている。とてもとてもいいんだけど。2017/01/29
ひろちゃん
95
その大きな木に誓ったことは「なにがなんでもやりとげる運命になる」それで幸福になった者もいれば、やめるに辞められず悶絶して死を選ぶものもいる。ただ、その木に誓いが届いた時、立ってもいられないほどの大きな風が吹くことだ……。うわあ、瑞々しい!静かに暮らす兄弟のもとにあらわれた一人の女性に出会ったことで三人の生活に新しい風を起こす。「本当に大切なものは何か?」ぶどうのなみだってぐっと耐えてはじめて目が覚めた時、綺麗な涙を流すんですね。三島由紀子さん、好きになった!ずっと読み返したい本。2015/10/31
あつひめ
87
映画はまだ観ていない。まずは原作を。ロケ先のワイナリーのワインも大好きなので、文字を追いながら、景色が頭の中に広がってくる。ひたむきさが時には自分を縛り痛め付ける。だけど足を止めてしまったら…と言う恐怖もあるかもしれない。一番欲しいものはなかなか手に入らない…。一番欲しいものだからこそ、手に入らないと言う言葉は胸に響いた。一番欲しいのは…物じゃないのかもしれない。その思いなんだと思う。我が家にも三笠で発掘したアンモナイトがある。空知の豊かさが溢れている物語だった。大泉さんのイメージは浮かばなかったけど。2015/02/19
寂しがり屋の狼さん
78
物語の舞台は北海道の空知。ワイン作りにすべてをかける兄のアオ、地に足をつけ麦を育てる弟のロク。アンモナイトの化石を求め旅を続けるエリカ。生きてくために本当に大切なものって何か?考えさせられる作品でした。【作中より】『人の心を動かすのは、言葉であり、行動であり、そこの根にある愛なのである』は印象にのこった言葉。2019/05/25