内容説明
半生をジャズとセロニアス・モンクに捧げた“ロスチャイルド家”の反逆児の実像。ジャズ界の伝説的パトロン、ニカ男爵夫人の数奇な生涯を、富豪ロスチャイルド家の裏面史とともに描くノンフィクション。
目次
もう一人の妹
蚤の女王
ハンガリーの薔薇
宝石の鳥籠
長く暗い牢獄
ロスチャイルド家の人々
蝶と憂鬱
社交界デビュー
最高司令官
フランスの女城主〔ほか〕
著者等紹介
ロスチャイルド,ハナ[ロスチャイルド,ハナ] [Rothschild,Hannah]
1962年生まれの映像作家、作家、慈善家。イギリスのロスチャイルド家第4代男爵ジェイコブ・ロスチャイルド氏の長女。オックスフォード大学を卒業後、BBCに入社し、主にアーティストを対象としてドキュメンタリー映画の制作を担当。『The Baroness』(2012年)は初のノンフィクション作品で、その後2015年には作家として初の小説『The Improbability of Love』を発表し好評を博した。またナショナル・トラスト(イギリス文化財保護財団)保有のワデスドン・マナー(旧ロスチャイルド家邸宅)の管理など、ロスチャイルド家関連の仕事に従事しつつ、2015年からはロンドン・ナショナル・ギャラリー(国立絵画館)初の女性理事長をつとめている
小田中裕次[オダナカユウジ]
翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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暗頭明
2
内容は大きく分けて、ロスチャイルド家での子供時代、結婚生活と戦争時代、ジャズ男爵夫人として生きた時代の話から成る。どうしたわけか今一つ感動や知的興奮が沸き起こってこない。この印象はもしかしたら訳者がその解説で記していることに呼応しているかもしれない: 2019/05/12
pico
0
19世紀から20世紀、欧州とアメリカの、戦争と階級貧富格差と人種差別について生々しく感じ取れます。モンクの息子さんの、父親の音楽は何もないところから生まれたのでない、という証言が印象的。神秘化されがちなジャズ史に釘を刺します。ショパン、リスト、ハイドン、ヘンデル、ベートーベンのレコードが家にあったそうです。フリーコンサートをやっていたのも、麻薬やアルコールの依存者を作り続ける環境があったのも、ニューヨーク。その空気もよく伝わりました。こんな伝記書く仕事、憧れますね。翻訳も素晴らしいと思います。2020/02/26
の
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富豪ロスチャイルド家出身にして、ジャズ界の伝説的パトロン、ニカ男爵夫人の生涯を描くノンフィクション。モンクの「パノニカ」、ホレス・シルヴァーの「ニカズ・ドリーム」等、彼女に捧ささげられた曲は多く、ジャズミュージシャン達の守護女神として愛されていた。戦前を投資家、戦中は自由フランス軍として活動しながら、戦後にジャズに取り付かれアメリカに移住。パーカーがニカのホテルで迎えた死、モンクの身替わりにマリファナ所持を認めた逮捕劇、男系絶対優位のロスチャイルド家に生まれながら、フェミニストの先駆者となった数奇な人生。2019/07/09