内容説明
ミシェル・フーコーによって展開された統治性という概念は、社会学や政治学など多くの分野で基本的な研究ツールとなっている。本書は、複雑で予測困難に思われる今日の世界を理解するために、この統治性という概念=道具の可能性を精緻に探究する。
目次
イントロダクション
第1章 フーコー、権力、統治性
第2章 統治性3・4・7
第3章 よみがえるフーコー効果?国際統治性研究へのいくつかの覚え書き
第4章 統治性と系譜学をふたたびつなぐ―スタイルの問題
結論―統治性との出会い
著者等紹介
ウォルターズ,ウィリアム[ウォルターズ,ウィリアム] [Walters,William]
1964年生まれ。カールトン大学(カナダ、オタワ)政治学・社会学教授
阿部潔[アベキヨシ]
関西学院大学社会学部教授
清水知子[シミズトモコ]
筑波大学大学院人文社会科学研究科准教授
成実弘至[ナルミヒロシ]
京都女子大学家政学研究科教授
小笠原博毅[オガサワラヒロキ]
神戸大学大学院国際文化学研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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フーコーの統治性パラダイムをトップダウン式に歴史研究に適用することに警鐘を鳴らしつつ、それ自体としても未完のプロジェクトであったフーコーの生政治研究を、どうすれば歴史的ないし政治的研究のなかで用いることができるのかを論じている。フーコーの歴史研究があまりに西洋中心主義的なものだったとの批判には、とりわけ統治性研究は未完なものであることによって、研究者にとっては開かれたメリットがあることに注意を促す。植民地支配の文脈のなかでの統治性パラダイムをフーコーが無視していたならば、むしろあなたがそれを用いなさいと。2017/06/29
hakootoko
4
巻頭のフーコーの統治性についてのみ。それ以降は、社会学、政治学における統治性研究は現在どうなっているかという内容で読んでない2020/08/10
あいうえお
1
統治性研究の見取り図。統治性とは何か、といった類の本ではない。 政治学寄りなのでそっちの人には有益かな2020/06/14
Mealla0v0
0
本書のテーマたる「統治性」は、後期フーコーにおいて登場した、一般に生政治の後継概念と目されるものである。しかし、統治性概念は『性の歴史』のⅠとⅡ&Ⅲの間に行われた講義で見られるものであり、その位置づけが難しい。『安全・領土・人口』において、統治性は3つの定義を与えられているが、本書ではその再確認を行うとともに、この概念をより発展的に論じている研究者についても包括的に検討されている。本書は「統治性とはなにか?」という問いに答えるというよりは、統治性研究についての見取り図と文献リストと思った方がよいだろう。2017/05/05