内容説明
「親が聞こえない」という一点で―まとめにイメージされるコーダ(CODA=Children Of Deaf Adults)たち。年齢も性別も住んでいる地域も違う六人のコーダそれぞれの語りから、その多様性と共通点が見えてくる。
目次
第1章 コーダであることの捉え方の変遷
第2章 コーダ三姉妹
第3章 対話とともに変わった家族像
第4章 コーダから見た情報通信技術の進化とこれから
第5章 コーダの言語獲得と仲間との出会い
第6章 聞こえない親の看取り介護と向き合うとき
著者等紹介
澁谷智子[シブヤトモコ]
1974年生まれ。成蹊大学文学部現代社会学科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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きゅー
6
6人のコーダ(聴覚障害を持つ親の子ども)が、コーダとして生きてきた半生を語る。強く気付かされるのは、「コーダ」という括りで彼らをまとめることなんてできないということ。それは私たちが「聴覚健常者」であっても、それぞれの人生が全く違うことと同じ。そしてまた手話のできないコーダの存在も忘れてはならない。日本語と日本手話は言語体系が全く異なる。手話のできないコーダは、実の親であっても詳しい会話ができない。成人になってから手話を学ぶコーダも多いという。2024/10/08
もけうに
5
6人のコーダの語りを読める希少な書。各人が置かれた状況は多様で、コーダでも想い・境遇は様々。世代による違いもあるのか、若いコーダは比較的自分が特別な境遇であると意識せず、年齢が上がるほど、親の通訳をする・ろうコミュニティの方に親近感を感じる・どこにも所属感が無い「境界人」的な傾向がある印象。時代と共に差別意識は薄れ、ろう者・コーダ・手話に対する認知度も上がっている。通信機器の進化も、ろう者のQOL向上に一役買っている、だからといってこの世から差別が根絶されたわけでは当然無く、まだまだ途上。2024/07/21