内容説明
炙りだされているのは、それ以前から私たちの社会にあった矛盾や分断。コロナ禍で障害のある子をもつ親たちは何を体験し、何を思い、何を感じてきたのか…。「こんな時だから仕方がない」と置き去りにされないために―。ささやかな抗いとして、七人の親たちが語る。
目次
第1章 「ほなって、しょうがないでぇなぁ」で、本当にいいの?―地方で知的障害のある子とコロナ禍を生きる私たち
第2章 医療的ケアとともにある生活を脅かすコロナ禍
第3章 コロナも予測不能!重度自閉症のたっくんも予測不能!!
第4章 障がいも性格もさまざま 三きょうだいの母は黙っていられない
第5章 コロナ禍で娘の入院に付き添って
第6章 家族依存の福祉とコロナ禍―仲間と親たちの体験と運動から
第7章 コロナ禍に炙り出されてきたもの
著者等紹介
児玉真美[コダママミ]
1956年生まれ。京都大学文学部卒。カンザス大学教育学部にてマスター取得。中学、高校、大学で英語を教えた後、現在、著述業。一般社団法人日本ケアラー連盟代表理事。長女に重症心身障害がある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Natsuko
16
児玉さん著書4冊目。重症心身障害者の親御さんとして、遠慮ない物言いが分かりやすく次々手に取ってきたが、本作は結構読むのがしんどかった。コロナ禍で障害者ご本人と家族が体験されていることは想像できてはいたが、VS政府・行政、VS世間に加え、VS事業者へのご意見が・・・厳しかった。事業者としては、集団生活と利用者・職員個人を守るための対策であっても、ご家族にとっては、そりゃバッサリ感だよな、と。自省する半面、我が子のために声をあげる親御さんたちの強さに正直事業者としては対応がきついとどうしても思ってしまう。2022/08/27
ハルキゲニア
12
障害のある子を育てていると「今は死ねない」と思う瞬間が何度も訪れます。次女の手術に付き添う時、母乳以外のものを口にしなくなった時、受け入れ先が見つからない時…。重度になればなるほど、緊急事態であればあるほど、母親が担う役割は大きく重くなる現実があります。そして大変な時ほど声を上げる余裕もなくて、頑張り続けるしかなくなるのです。どうにかして欲しい訳ではないけど、ぜひ多くの人に知ってほしいなと思います。2023/10/13
瀬希瑞 世季子
4
障害領域の医療現場でこそ温かく受け入れられても、それ以外の医療が必要になったとたんに、一般の医療現場では「余計な手間がかかってリスクが大きい迷惑な患者」とみなされてしまう。(効率化と成果主義が更にそれを加速)コロナ禍の面会制限により適切な医療を受ける権利がさらに侵害される。病院や施設の外出禁止と面会制限は患者、入所者と家族の関係性を損ない、QOLを著しく低下させて、人権を侵害しているのでないかと著者は疑問を持つ。/施設には様々な人が出入りしてるのに家族だけがゼロリスクを求められ入ることができない不均衡さ。2023/09/25