内容説明
障害当事者が受けた差別の経験。実は優生思想や能力主義、迷信、慣習等と結びついていました。障害者だけではなく、健常者にとっても生きづらい社会を変えるには。
目次
第1章 「バチが当たって障害者になる」?(「なぜこうなったか」の物語を求める人間;因果応報と障害 ほか)
第2章 聖なる障害者―一九八〇年代に作られた「伝統」(とり憑かれた障害者;妖怪にされた障害者 ほか)
第3章 何が何でも「人様にご迷惑をおかけしてはならない」のか?(その昔、なぜ人は「障害者はやっかい者」と口にしたか;「鶴の恩返し型」の支え合いが生む「迷惑」 ほか)
第4章 「地域」という幻想(自助と共助が先にある「地域共生社会」;美化されやすい、古き良き時代の相互扶助 ほか)
第5章 障害者がふつうに暮らせる社会をめざして(障害者運動は「地域」との戦いでもあった―「青い芝の会」へ向けられた「氷矢のような視線」;「共助」のリアル ほか)
著者等紹介
三島亜紀子[ミシマアキコ]
1971年、兵庫県生まれ。東大阪大学教授、ケンブリッジ大学客員研究員を経て、現在、同志社大学嘱託講師。専攻は、社会福祉学・障害学・社会学。論文漫画家
平下耕三[ヒラシタコウゾウ]
1967年、大阪市生まれ。特定非営利活動法人自立生活夢宙センター代表(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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りんご
43
マンガもちょこっとありますけど、基本は文章ですからね。空前の人口減少、晩婚、高齢化。医療は進んだけれど幸せは増えたかな。障害者を家庭内だけでケアするのは無理になってきた。「迷惑をかけてはいけない」という道徳観を別アングルから見てみようじゃない。んふん、頭使いました。今の自分はそろそろ社会にお礼をする時間なんかな、とも思ったんで、とりあえず学校ボランティアの問い合わせしてみました。2024/05/18
てん
9
人間は"物事が起こった理由"がわからないと腑に落ちない。根拠のない理由でもいいから探して、自分に言い聞かせる。因果応報というように、障害がある理由は障害者の前世とか日頃の行いの悪さにあると考えられていた時代があった。また、障害者が妖怪とか神様として見なされてた時代もあった。人に迷惑をかけてはいけないという教えとか相互扶助の考え方がある社会では、障害者の評価が低くなってしまいかねない。困ったときに周りに助けを求めることは必要なスキルだし、もし同じくらい助け合えなくても見返りを求めない支え方が大切な気がする。2022/11/21
Red-sky
1
論文やら文献からの参考引用が多くてスラスラとは決して読める本ではないけれど、昔が良かったなんて幻想だし、現在は新たな社会の形を創造していくことということはわかった。漫画と妖怪と色々な方向から話が引用されてるから正直わたしには読みづらかったけれども。2021/07/11
Yuka
1
子供向けと思いきやすごい良かった!中身は完全に社会学。マンガがあるのもとっつきやすくて、高校生くらいにちょうど良いかも。 障害者に関する道徳や社会認識に対して様々な角度から警鐘をならしていて、すごく考えるきっかけを与えられた。 これまでもたくさん読んできたけど、民俗学の視点はなかった…座敷わらしや妖怪として描かれたものに障害者がベースになっているものが多いというのはなるほどなと。柳田国雄は民俗学としか知らなかったけど書籍も読んでみたい。勉強意欲がそそられる本。障害者問題をテーマにする人にはオススメ!2019/12/04
海戸 波斗
1
みんな~コレ読んで読んで。昔は良かった、支え合ってた。とか妄想だよ。歴史的事実を忘れないで、夏休みに感動ポルノなんて見たくない。私の知ってる現実は、コレだったよ、忘れない、昔があっての今を生きてる。2019/11/23