内容説明
謎の薬物の過剰摂取により、狂気から醒めたジョーカー。本来の自分を取り戻した彼は、かつて自らの手で蹂躙したゴッサムシティを救うべく立ち上がる。彼の標的となったのは、街の実権をほしいままにしてきたエリートや富裕層。そして、恐怖からの庇護という名目の下に、独善的な正義を振りかざしてきた闇の騎士…バットマンだった。バットマンとジョーカーの立場を逆転させ、真の正義とは何かを問いかける問題作。気鋭ショーン・マーフィが贈る話題作がついに日本上陸!
著者等紹介
マーフィ,ショーン[マーフィ,ショーン] [Murphy,Sean]
学生時代にコミック業界入りを果たした。DCコミックスで職を得るまでにインディーズの世界で腕を磨いた。DCでは、『バットマン』『スケアクロウ:イヤーワン』『ティーン・タイタンス』『ヘルブレイザー』『ジョー・ザ・バーバリアン』などを歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
蛸
14
「バットマン」というジャンルを成り立たせている無条件の前提に対して鋭く切り込んでいる、という意味でジャンル批評的な目線から作られた脱構築型のコミック。その刃は、自警活動の是非、バットマンとゴッサム市警との協力体制、そしてバットマンとジョーカーの共依存的な関係性にまで及ぶ。善人になったジョーカーがゴッサムシティを浄化していく、という一発ネタを徹底的に突き詰めて「バットマンとは何か?」という本質論にまで至らせる手腕が見事。個々のキャラクターの扱いや、細かい描写の粗さは気になったものの骨太の脚本が素晴らしい。2019/09/08
tt23836148
6
素晴らしい。ある種これまでのバットマン像に対する一つの回答というか。ゴッサムとバットマン、バットマンとジョーカー、そういう構造に対する一つの回答というか。これまでそうしたモノに踏み込んだ話はあった、それこそ『キリング・ジョーク』や『バットマン・エゴ』など、この『ホワイトナイト』もそれに連なる傑作と言えよう。2024/06/23
テロメア
6
傑作! ブラックレーベルというDCの独立した世界観のミニシリーズなので、今作から読んでも大丈夫です。が、基本的なバットマン論を知った上で読まないと深く感動するかは謎かなぁ。いわゆる、ゴッサムにビランが集まる原因はバットマンにあるのでは?論である。これは一般的にも大ヒットしたノーラン監督の『ダークナイト』のジョーカーも言及してた通り、バットマンシリーズでは通説的に扱われてつつも、それを真正面から描いたものはなかなかなかった。今作はそれを正気を戻したジョーカーが正義側としてバットマンの問題点を言及する。傑作!2019/07/06
Kazunori Yuki
4
ヤバい。めちゃくちゃ楽しい。レイピアの鼻につく態度で途中までもう読むのやめようかと思ってたけど、中盤以降に展開が急加速。アクション描写がカッコよくて映画を観ているような感覚ですごく楽しめた。2023/09/25
サテヒデオ@ダイナミックひとり
2
夢と理想と信念と。正義は法と共にあり、目的ではなく手段にこそ、それは宿る。ジャック・ネイピアの清濁併せ呑むしたたかさは魅力。それは余裕のないバットマンとの対比で際立つのだけれど、ジョーカーの振り切れた狂気が全部かっさらってしまう。まさに千両役者だね。2019/07/20