内容説明
黄金の鷲の軍旗が英国の土に突き立った。ナポレオンがついに本土に上陸したのだ。だが、この国家存亡の機にテメレアと担い手ローレンスの姿はない。世界のドラゴンを救うため、命を賭した代価は、国家への反逆罪だった―テメレアよ、嘆きの淵より舞いあがれ!
著者等紹介
ノヴィク,ナオミ[ノヴィク,ナオミ] [Novik,Naomi]
1973年、ニューヨークで、ポーランド移民の子として生まれる。ブラウン大学で英文学を学んだあと、コロンビア大学でコンピュータを学びコンピュータ・ゲームの開発者となる。本シリーズの第1作『テメレア戦記(1)気高き王家の翼』でデビュー、ヒューゴー賞史上初めて新人としてノミネートされ、人気のベストセラーとなった。現在は作家であり出版社社長であるチャールズ・アーダイとニューヨークで暮らしながら、テメレア・シリーズを書きつづけている
那波かおり[ナワカオリ]
英米文学翻訳家(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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星落秋風五丈原
30
英国は小国ながら、一度も他国に占領されたことがないのが自慢だ。龍のいるフィクションの世界では、何とナポレオンの鷲の旗が英国に翻る。それどころかロンドンが占領され、国王ジョージ3世は気がふれてしまうのだ。この辺りは史実と絡めている。本編より視点がテメレア&ローレンスと分かれる。テメレアは繁殖場に置かれ、ローレンスは獄に繋がれているからだが、共に行動する次巻においてもその傾向は続く。立場の違いはあってもお互いを思い合う一人と一匹。呼びかけが「愛しいテメレア」ときたもんだ。2022/09/18
tom
15
反逆者の汚名にまみれて帰国したローレンス。でも、イギリスはナポレオンの侵攻を受けて七転八倒。軍当局は、テメレアを武器として使うため、ローレンスを軍務に戻す。以後、最後の頁までほとんど戦闘場面が続き、ナポレオンは撤退。この功績があったから、ローレンスは縛り首を免れ、テメレアとともにオーストラリアに追放。舞台はイギリスから他所に移る。4巻までのチンタラの風景がなくなったぶん、読みやすくなった。今後は、ローレンスが国家とか軍隊という束縛から離脱する物語になると思うのだけど、どうだろう。そうなってほしいと思う。2025/03/20
ヒダン
15
前の巻から続けて一気に読んだ。一巻から宿命づけられていたナポレオン軍との戦い。これを待っていた。テメレアの活躍には血湧き肉躍るところもあるが、ビターな味付けで読んでいて胸が苦しくなるような描写が多かった。テメレアに近い目線から読んでしまうからか、ローレンスの処遇は分かっていても辛いところがあるし、それを受けて自暴自棄になっていく様子を見るのも辛かった。ここに来て歴史改変もあからさまになり、やりたい放題になっているのでこのままの勢いで頑張ってほしい。2017/03/17
鐵太郎
14
諸事情に付き発刊されて一年たっての読了。ネット友人たちの名があとがきにあってなにやら嬉しくなったけれど、描かれたローレンスとテメレアの苦闘が読んでいてつらかった。今のアニメあたりなら、自分の信条に正直に生きるのは美徳かも知れないが、国家への反逆とはかくも重いものか。ところで、国家に命を捧げた(けど史実と違って戦死しなかった)ネルソン提督よりウェルズリー将軍の毅然とした活躍の方に好感が持てるのはなぜ?2014/10/30
びぃごろ
12
1年前に刊行されていたとは!図らずもV,VIと立て続けに読める幸せ。しかし、反逆罪のレッテルから逃れようがなく不遇の巻。読んでいて辛い(>_<)何とか活路を見出して欲しい。全9巻の予定だそう。2015/05/05