出版社内容情報
画家になることの断念から「新しい小説」を書く作家へとみずからを変貌させた小説家クロード・シモン――作家自身の自画像を描いた〈私小説〉を想起させる自伝的小説にして、文学の前衛運動をいち早く先取りしていた、世界文学最初の〈ヌーヴォー・ロマン〉作品。本邦初訳。
【目次】
内容説明
通過する弾の音を聞きながら、男たちはまるで豚のように意地汚く撃ってくるなと思い、そのとき確実に待っていたのは―この背中がずいぶん広く幻想的なほどにも透過性のあるように感じながら―歩きつづけることからこちらを解放してくれる一撃だった。
著者等紹介
シモン,クロード[シモン,クロード] [Simon,Claude]
1913‐2005。1913年、マダガスカル生まれ。満一歳にならないうちに父を、十一歳で母を亡くす。1925年、パリのスタニスラス校の寄宿生となり、バカロレア試験をはさんでイギリスで語学研修。パリで絵画を学ぶ。1936年、バルセロナに滞在しスペイン内戦を観察。全国労働者連合(CNT)と連絡を保ち、武器の購入と輸送に協力するも、頓挫。1939年、竜騎兵連隊に召集され、40年、捕虜となるも脱走。1945年、『ペテン師』を出版。『風』以降「新しい小説」を書く。代表作に『フランドルへの道』、『農耕詩』がある。1985年、ノーベル文学賞を受賞
芳川泰久[ヨシカワヤスヒサ]
1951年、埼玉県生まれ。早稲田大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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uchiyama
3
冒頭からいきなりとてもプルースト。眠らずに母を待つ覚悟を決めた話者が、月明かりですべてが静止したように見える窓の外に、木々の葉むらだけがゆらめいているのを見る場面を想起。でもこのままいくと、気取り散らかして進むのでは…と、今更の初読みシモンにハラハラしていると、勿論そんなわけないのが素晴らしく。「かつてあったもの、そのときあるもの、そしてこれからあるだろうものはどれもそれじたいで十分」であることを「綱渡り」のように「書く」ことで証明する。セザンヌと戦争が等価に語られるから尚のこと。再読します。2025/12/03




