出版社内容情報
ヨーロッパにおける、アメリカ人女性の無垢で奔放な生を描き、〈国際テーマ〉の名作として文名を高めた短編「デイジー・ミラー」。画家とモデルと絵画の関係を寓話的に描き出す〈芸術もの〉の短編「ほんもの」。ヘンリー・ジェイムズの小説的リアリティの特性が浮かび上がる珠玉の2篇。
内容説明
ヨーロッパにおける、アメリカ人女性の無垢で奔放な生を描き、〈国際テーマ〉の名作として文名を高めた短編「デイジー・ミラー」。画家とモデルと絵画の関係を寓話的に描き出す〈芸術もの〉の短編「ほんもの」。ヘンリー・ジェイムズの小説的リアリティの特性が浮かび上がる珠玉の2篇。
著者等紹介
ジェイムズ,ヘンリー[ジェイムズ,ヘンリー] [James,Henry]
1843‐1916。1843年にニューヨークで生まれる。一歳年上の実兄は、プラグマティズム思想を標榜する哲学者・心理学者として斯界に確固たる地歩を築いたウィリアム・ジェイムズ。異文化理解を礎にした文学的融合を意識し、人間の心理の微妙な襞をくすぐる優れた作家として知られる
齊藤昇[サイトウノボル]
1955年、山梨生まれ。立正大学大学院博士後期課程修了。文学博士。現在、立正大学文学部教授。専門はアメリカ・ロマン派の文学研究(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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みつ
17
二篇のうち短編『ほんもの』は、ここ数年で2種の訳で読んだもの。今は落魄した上流階級の夫妻が画家のモデルを志望したところから、モデルにふさわしい人物を巡る物語が展開する。皮肉と哀感がないまぜとなった筆致は、やはり名作にふさわしい。今回のお目当ては、最初に新潮文庫で読んだジェイムズ作品の約40年ぶりの新訳による中篇『デイジー・ミラー』。ヨーロッパを訪れたアメリカ人の若い女性をめぐる物語は、これ以降(以前も)も何度も登場するテーマで、唐突ともいえる結末まで、長篇と比して駆け足の感あり。(②へ)2025/08/17