目次
芸能賎民の運命
河原という言葉
排除された雑技芸
劇的なるもの
「猿」について
漂流する芸能
神仏習合の契機
「翁」について
清水坂から五条通りへ
白拍子とは何か
興業者の誕生
歌舞伎と浄瑠璃
近松門左衛門
すさまじきものは宮仕え
助六誕生
東洲斎写楽
東海道四谷怪談
團十郎追放
河原者の終焉
著者等紹介
篠田正浩[シノダマサヒロ]
映画監督。1931(昭和6)年、岐阜県生まれ。49年、早稲田大学第一文学部入学、中世・近世演劇を専攻。50年、箱根駅伝出場、二区を走る。53年、早大卒業、松竹撮影所入社。60年、『恋の片道切符』で監督となる。大島渚、吉田喜重らとともに「松竹ヌーベルバーグ」として前衛的名作を発表。66年、松竹退社、フリーとなる。67年、独立プロダクションの表現社を妻の岩下志麻とともに設立、自主制作を始める。2003(平成15)年、『スパイ・ゾルゲ』を最後に監督業引退。主な映画作品に『心中天網島』(1969 キネマ旬報ベストワン)、『無頼漢』(1970 アデレイド国際映画祭銀の南十字星賞)、『沈黙 SILENCE』(1971 芸術選奨文部大臣賞)、『はなれ瞽女おりん』(1977 アジア太平洋映画祭監督賞、日本アカデミー優秀作品賞)等(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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小谷野敦
1
三国連太郎がこういう本を書いていたが、芸能に関わる者として、映画監督を引退した著者が日本の芸能の歴史を書いたもの。岩下志麻らが芸能人差別に逢ったことも書いてあるが、それ以外は映画人の研究ノートのようなもの。しかし「ニーベルンゲンの指輪」が「ロード・オブ・ザ・リング」の原作であるかのように書いてあって(224p)トルキーンを知らないらしいのは世代の問題かとちょっと慨嘆した。ほかにも素人ゆえの突っ込みどころは多いが、監督としての努力賞であろうか、泉鏡花文学賞を受賞している。2024/08/27