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内容説明
イスラム教改宗者の討伐という歴史的事件を材に、民衆の『哀しき人間の運命』を綴った、セルビア『第二の聖書』と目される一大詩篇『山の花環』。宇宙創造、人間の堕落と魂の救済を詠う『小宇宙の光』。セルビア文学の金字塔となった、ニェゴシュを代表する二大叙事詩。
目次
山の花環―十七世紀末の歴史的事件(聖神降臨祭の前夜、ロブチェン山にて開かれし民会;生神女誕生祭の日、ツェティニェにて不和仲裁とて開かれし民会;降誕祭前夜)
小宇宙の光
著者等紹介
ペタル二世ペトロビッチ=ニェゴシュ[ペタルニセイペトロビッチニェゴシュ] [Петар 2 Петрович Негош]
1813年モンテネグロのニェグシ村生まれ、1851年ツェティニェ歿。俗名ラーデ・トーモフ。1830年モンテネグロの統治者に即位。1833年セルビア正教会主教に聖別、ペタル二世ペトロビッチを名乗る。モンテネグロの近代化とトルコからの解放に努めるとともに、詩作品を発表、セルビア文学史上、最大の詩人といわれる
田中一生[タナカカズオ]
1935年、北海道生まれ、2007年東京歿。早稲田大学露文科を卒業後、ベオグラード大学に留学、ビザンチン美術およびユーゴスラビア文学を研究(1962‐67)
山崎洋[ヤマサキヒロシ]
1941年、東京生まれ。慶応義塾大学経済学部卒業後、1963年よりベオグラード大学留学、1970年、同法学部修士課程修了(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nightowl
2
宗教家=統治者の書いた叙事詩。当時の日本は大塩平八郎の乱や天保の改革の時期。争い続くオスマン・トルコ帝国の衰退し始める過渡期で、自国であるモンテネグロの独立を国際的に承認してもらおうと奮闘していた頃。大国が近くにあり外交のバランスに悩まされていることが顕著な国の苦悩「山の花環」、作者流の宗教解釈(「神曲」風?)と受け取った「小宇宙の光」の二作品。前者の解説を読むと、自立のために諸外国の援助を必要とする云々という記載に今近隣国で起きている戦争を思い浮かべずにはいられない。訳注を読まずともリアルに響いてくる。2024/11/25
イオンベイ
0
19世紀のモンテネグロを統治したペタル2世ペトロヴィチ=ニェゴシュが記した三大叙事詩のうち二つを収めた本書。 古風で難解な言葉遣い(これ自体は執筆された時代に合わせて故意になされている)や異なる社会背景、作品の礎になった数々の古典・神話の知識……そういったものを予め理解していかないと読み進めるのに苦労しそうだなと思った。 2021/01/08