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内容説明
ラテンアメリカ某国の残酷で滑稽な二日間。ウナムーノらスペイン“98年世代”の作家バリェ=インクランが独自の小説技法「エスペルペント」で描き出した、いびつで歪んだグロテスクな現実世界―ガルシア=マルケス、フエンテスら世界文学者に継承される“独裁者小説”の先駆的作品。本邦初訳。
著者等紹介
バリェ=インクラン[バリェインクラン] [Valle‐Incl´an]
1866‐1936。ガリシア地方ポンテベドラ生まれのスペインの作家。耽美的愛の世界を描いた「ソナタ」四部作で地位を確立し、劇作に専念した後には、独自のエスペルペント美学にもとづき現実を滑稽かつ冷徹に描き出し“98年世代”を審美的にリードした
大楠栄三[オオグスエイゾウ]
1965年、福岡県生まれ。東京外国語大学大学院地域文化研究科博士後期課程単位取得満期退学。現在、明治大学法学部教授。専門は十九世紀後半から二十世紀初頭のスペイン小説・文化(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てれまこし
8
中南米独裁者小説の嚆矢はスペイン作家が書いた。赤道直下架空の共和国を舞台とするが、スペイン本国のプリモ・デ・リベーラ将軍独裁の諷刺が隠されてもいる。章立てが完全な対称性を持っていて、情景描写にも幾何学的なものが多い。独裁者以下登場人物はみんな「仮面」を被っていて、人形みたいに機械的に自分の役割を演じる。積み木の国の人形劇のような絵画的な印象を与える。キュビズムの影響があるが、第一次大戦の前線を飛行機で視察したときの経験から、空から戦争全体を見下ろすように俯瞰することで諷刺のための距離を確保しようと考えた。2025/05/04
warimachi
3
『族長の秋』に先んじた、独裁者小説の先駆的作品、らしい。文体、語彙ともに独特すぎて内容をとても把握しきれないが、異様な迫力は感じたし読んでて滅法面白い。まだこんな小説が翻訳されずにいたんだなあ。2020/10/13