内容説明
突如その男の内側に住む獣が身をもたげ、目を覚ました。ゾラをも凌ぐアメリカ自然主義の、最高の宿命小説。怪物シュトロハイムに映画『グリード』を作らせた、ノワール文学の先駆的作品!
著者等紹介
ノリス,フランク[ノリス,フランク] [Norris,Frank]
1870‐1902。シカゴ生まれ、西海岸育ちのアメリカの小説家。カリフォルニア大学バークレー校で進化論と出会い、ハーヴァード大学創作科で創作論を学ぶ。『レディ・レティ号のモーラン』で作家デビュー。本作で作家として注目される。“小麦三部作”最終作執筆中に病死。同時代のナチュラリズムの作家で、もっとも理論的に小説を考えた作家として知られる
高野泰志[タカノヤスシ]
1973年大阪市生まれ。京都大学大学院人間・環境学研究科博士後期課程退学後、同大学で博士号(人間・環境学)取得。現在、九州大学大学院人文科学研究院准教授。専門はアーネスト・ヘミングウェイ(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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NAO
72
ガーディアン必読書、岩波文庫『死の谷』の新訳。実際に起こった殺人事件をもとにした話。作者は、殺人を遺伝に起因するものとしている。人種やジェンダーに関する強い偏見が見られるが、マクティーグというひとりの男の野心とその転落は、心に響くものがある。旧訳はいかにも古くさかったが、今回の新訳は読みやすいだけでなく、詳細な解説がついていて作品の背景がよく分かる。2019/12/06
ケイトKATE
11
19世紀末のサンフランシスコを舞台に、歯科医のマクティーグと妻トリナがお金と嫉妬から転落していく物語。最初、二人は幸せな人生を送ると思われたが、トリナが結婚前に偶然手に入れた宝くじが当たり大金を得たことから、トリナはお金を貯めることに執着し、夫にお金を渡そうとしなくなり夫婦関係が悪化する。一方マクティーグは、歯科医の腕前はあったが、無免許であったことを密告され廃業してしまう。廃業後、マクティーグは自分の生活を設計できず酒に溺れて次第にトリナに憎しみをぶつけるようになり二人に悲劇が訪れる。2019/10/29