出版社内容情報
戦中の修業時代から「第三の新人」として活躍するまでの、全集未収録の初期作品10篇を収録。いかに小沼は誕生したのか。〈僕が最後にゴンゾオ叔父を見たとき、叔父は空気の抜けたアドバルウンよろしく、皮膚がたるんで萎びてしまつてゐた。それは戦争が終つてまもないころである〉――「追憶の作家・小沼丹」はいかにして誕生したか。戦中の修行時代から「第三の新人」として活躍するまでの初期短篇を初書籍化。限定1000部。生誕百年記念刊行・第6弾。
柿(1944)
時雨(1945)
白き機影の幻想(1947)
秋のゐる広場(1948)
細竹(1948)
忘れられた人(1950)
早春(1951)
敬礼(1953)
テンポオ翰林院(1956)
ゴンゾオ叔父(1956)
収録作品解題
解説 中村明
小沼丹[オヌマタン]
著・文・その他
内容説明
静かな村に暮らす叔父や伯母。戦地で死んだ親友。空襲と焼跡…「追憶の作家・小沼丹」を育てた原風景の数々。戦中の修業時代から「第三の新人」として活躍するまでの初期短篇を初書籍化。
著者等紹介
小沼丹[オヌマタン]
1918年、東京生まれ。1942年、早稲田大学を繰り上げ卒業。井伏鱒二に師事。高校教員を経て、1958年より早稲田大学英文科教授。1970年、『懐中時計』で読売文学賞、1975年、『椋鳥日記』で平林たい子文学賞を受賞。1989年、日本芸術院会員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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三月★うさぎ
2
こうしてみると、後年の作品は随分洗練されたんだなあと思う。 「枯れた味わい」と「それがどうした」を分けるのは、作家の筆力なんだなあ。2019/03/15
ももんが
1
図書館にて。初期短編集。読んだことがあるけど少し違ったように感じたものがありました。読了後、解説を読むとのちの作品の原型たちだということがわかりました。彼が作中に描く情景は、私の眼にはいつもセピア色が淡くかかって見えます。まだ文章が硬く色彩が濃く勁いものを、時間をかけて削いで淡くでも渋みを足しながら、後の作品にに展開していったのでしょう。2019/07/16