出版社内容情報
早川書房での編集者、また翻訳家として、英米のエンターテインメント小説などに携わった経験を基に日本の翻訳出版を振り返る。
常盤 新平[トキワ シンペイ]
内容説明
早川書房における十年間の編集者生活。英米のエンターテインメント小説やノンフィクションを刊行し、出版界に新たな道を拓いた著者が、自らの体験を基に翻訳出版のあり方を問う、傑作回想記、新発掘!
目次
一九六七年十一月―初めてのアメリカ
ポール・レイノルズとトーランド
ノヴェライゼーション出版への疑問
「ホリデイ」の失敗
「PW」誌の思い出
ニューヨークで出会った人々
わずかな部数を大切にした時代
敗者をいつも理解した人
楽しさ、面白さを味わう
HAYAKAWA BOOKS〔ほか〕
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
starbro
90
常盤新平をかなり久しぶりに読みました。常盤新平と言えば、アーウイン・ショーの都会的な小説の翻訳者というイメージが強いですが、本書はそれ以前の自伝的エッセイでした。著者は翻訳小説の黎明期にかなり苦労されたようです。全く知りませんでしたが、早川書房に10年も在籍していたんですね。「プレイボーイ」に対抗する雑誌「ホリディ」を企画し、1号で廃刊にした辛い過去もあったなんて、大変不思議です。雑誌名からしても、売れない気がしますが(笑)2016/07/11
kokada_jnet
15
1967年、早川清社長とNYに行き、コロンビア大学の学生だった早川浩現社長と、現地の出版関係者とあってきた話が面白いな。エース・ブックスの女性担当者が「すごいつけまつげで厚化粧」。「粗末な本を出している格下の出版社だけれど、立派なビルの中にあった」とか。2016/06/01
kokada_jnet
10
しかし本全体としては、あまり面白くない。この人のエッセイの文体が苦手。2016/06/15
スターライト
9
常盤新平氏が、早川書房にいた1959年からの10年間の翻訳出版に関するエピソードを語った書。入社のいきさつや版権をめぐる争奪戦、海外作品に対する自らの評価など興味深い内容で、あっという間に読み終えた。文章から感じられるのは、驚くほどの常盤氏の自己評価の低さだ。それはおそらく1号出しただけで廃刊になった雑誌「ホリデイ」のことが、記憶から拭い去れないからかもしれない。自分が先輩諸氏から受けた世話を、後輩に対して自ら実践していたことがわかる宮田昇氏の「後記」を読んで、胸が熱くなった。2016/08/24
てつや
8
翻訳小説の黎明期の状況がぐんぐんと立ち上がってくるのが、実に面白かった☆ できれば、もうちょっと長いスパンで、読みたいかなって思いました。 2016/08/22