内容説明
年をとると、嘘をつくぐらいのことで疲れる。―もちろん嘘の相手は、女である。遺されたエッセイ42篇。
目次
1(石を探す;星の界;銀座今昔物語;本は流れて;縁側の秘密 ほか)
2(いつか見たいい女;破船;顔のない夢;時の橋;阿佐ヶ谷は、怖くて美しかった ほか)
著者等紹介
久世光彦[クゼテルヒコ]
1935年、東京都杉並区阿佐ヶ谷生まれ。父の転任にともない、札幌や富山などで少年期を過ごす。東京大学文学部美学美術史学科卒業後、ラジオ東京(現TBS)に入社。演出家・プロデューサーとして数多くのテレビドラマを手がけ、1979年退社。のち、カノックスを設立。1992年「女正月」他で芸術選奨文部大臣賞を受賞、2003年「センセイの鞄」が文化庁芸術祭優秀賞作品となる。作家としては1987年に『昭和幻燈館』でデビュー。1993年『蝶とヒットラー』でドゥマゴ文学賞、1994年『一九三四年冬―乱歩』で山本周五郎賞、1997年『聖なる春』で芸術選奨文部大臣賞、2001年『蕭々館日録』で泉鏡花賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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nonpono
9
伊集院静の文庫本のあとがきが久世光彦だった。10代のわたしは難解な内容だったけど流れるような文章を書く人だと思った。それから久世光彦のエッセイを読んだ。だいたいは読んだつもりだったが、本書は死後に出たんですね。知らなかったけど、また久世光彦の文章に酔えるのは幸いだ。「嘘というものの行く末は、たとえ途中でほんとうになっても、そんなものだし、男と女も、見えつ隠れつする嘘を覗いてみたり、見えないふりをしてみながら、花が開き、やがて枯れていくものかもしれない。」何気ないのに美しい文章を美しい言葉を教えてくれた。2023/06/07
mizuiro
7
久世光彦(くぜてるひこ)著者名振り仮名ないと読めない...久世さんの文章とても心地よいです!<あとがきにかえて>に小泉今日子さんと久世さんの奥様のお二人が寄稿されていて贅沢!2022/09/23
冬薔薇
3
冒頭から映画を見ているような文章が続く。何故か久世の文章は涙を誘う、昭和の哀愁か、ノスタルジーか。「名前の話」は笑える。「顔のない夢」は乱歩モデルの小説へ。匿名願望は男でなくともあるもの。昔の映画の話も懐かしい。怖ろしいは美しい。大正から昭和にかけての日本の国の匂いを映像や文章に蘇らせたいと言った久世。もう一つのエッセイもしばらくして読んでみよう。2015/10/21
羽毛
3
ちょっと懐古主義に寄りすぎと思う部分もあるが、久世氏の文章が好きでチマチマと全制覇を目指している。全集出してほしい...没後に出版されたエッセイは初読かな。どこまでが嘘か分からない自己韜晦の格好つけとも含羞とも取れる感じがやっぱり好き。遠くから憧れる分にはいいけれど、こういう人と暮らすのは大変だったのだろうと思う。2015/08/12
hideko
1
私とは違った、知らない昭和の世界。 退廃的?2015/07/04
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