内容説明
どの山にもどこかに一つは美しい場所がある。「日本百名山」の始祖が達意の筆で綴る、山旅の醍醐味、名峰の魅力、ふるさとへの想い…埋もれていた単行本未収録随筆、ここに精選。
目次
1 山へのいざない
2 私の名山
3 静かな山旅
4 ふるさと今昔
5 東京暮らし
6 登山の周辺
7 未知なる土地へ
著者等紹介
深田久弥[フカダキュウヤ]
1903年3月11日、石川県江沼郡大聖寺町(現加賀市)に生まれる。旧制福井中学、第一高等学校を経て、帝国大学文学部哲学科へ入学。在学中に「新思潮」同人となり、改造社の編集部員も務める。1930年、小説「オロッコの娘」が注目を浴びたのを機に退学し、文学活動に専念。1944年、陸軍に応召されて中国湖南省へ。復員後は次第に小説から離れ、山岳紀行文やヒマラヤ、シルク・ロード研究を中心に活躍。1971年3月21日、甲州の茅ヶ岳登山中に脳卒中のため急逝(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
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Sakie
9
『静かな山登りを愛する人は、非流行の山へ行くことだ』。私は何故自分が富士やアルプスに行きたがらないのか、腑に落ちた。出来るだけ人に会わない静かな山を満喫したいのだ。有名な山は大抵、誰でも行けるよう利便よく開発されて、休日には行列ができる。御免だ。幸い、四国には山がたくさんある。初心者らしく季節を選んで、不便を厭わず行くことなのですね。「日本百名山」に代表される、山歩きにまつわるエッセイだけでなく、故郷金沢の美しさや冒険の考察など、予想していたより幅広い話題を楽しめた。金沢は美しいところだ。また行きたい。2016/10/23
やっちゃん
7
戦前は百名山候補だった山が最終的にいくつか落選していることに気づく。雨飾、荒島岳は深田久弥思い入れの山といっていい。だいぶ内容が被っているし山関係ないエッセイも多い。昔は良かった懐古主義な話も多くちょっと期待はずれ。2021/09/14
博多のマコちん
3
[日本百名山]の著者として名高い深田久弥さんの単行本未収録の随筆集で2014年(平成26年)に刊行されたもの。「山へのいざない」「私の名山」「静かな山旅」という表現で括られた山や旅に関する章と、「ふるさと今昔」「東京暮らし」というタイトルで括られた故郷石川県大聖寺町や金沢の事及び東京での身辺雑記の章などで構成されている。深田久弥さんの人と成りが垣間見える文体だが、全体に抑制的な表現が多い。低山歩きやノンビリ旅が好きな私には、手軽にゆっくり読み進められるホドホドの良い読書タイムをもてました。2021/04/14
ふらら
3
日本百名山の著者。「非流行の山」「混まない名山」。気の合った仲間と楽しむ静かな山業「避衆登山」を深田氏が楽しんでいた様子が目に浮かんだ。彼が選んだ百名山はどこも大勢の人が登るが、選ばれる前は静かな山だったところもたくさんあるのであろう。たくさんの山があって、深田氏の言うように山にも品格、個性がある。確かに同じ山はなくどんな山に登っても、毎回楽しめる。これからも登り続けよう。2016/10/26
フンフン
2
深田の全集未収録の随筆を集めたという。『日本百名山』は戦前から構想されて、ずいぶん時間をかけて完成されたものだったことがわかる。2019/11/29