目次
1 ひとのふんどし(恩あるひとびと;いじわる礼賛 ほか)
2 りんごの本箱(りんごの本箱;庭を見つめて ほか)
3 ことばはなれて(列車;星ぼし ほか)
4 いつでも会える(焼き豚;踏切びいき ほか)
5 きつねの散歩(とりを聞く;選句の神殿 ほか)
著者等紹介
石田千[イシダセン]
1968年、福島県生まれ、東京育ち。國學院大學文学部卒業。2001年に第一回古本小説大賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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pino
113
千さんは初めての学芸会できつねの役を演じたと言う。 タイトルのきつねとは千さんのことかな。表紙に前脚をヒョイと差し出しているきつねが三匹。何だか楽しそう。私もヒョイと遠足に参加することにした。千さんの言葉はふわふわ。捕まえようとするとヒョイと逃げる。そうしているうちに千さんの愛読書を楽しみ、お酒の席にお供し、落語を聞き、池で白鳥のボートに乗った。選句の神殿も拝見。千さんが掬い取った事どもに当てられた言葉は揺らぎ響く。真似のできない魅力的な作文集となっている。へっぴり相撲と謙遜なさるが、私はヒョイとかわす。2017/07/30
nico🐬波待ち中
94
石田千さんの文章が好きだ。ふんわり優しく、物事から程よく距離をおいて見ている感じが心地好い。「作文集」と副題にある通り、エッセイや書評、詩と石田さんの色々な表情を読むことができた。ーー幸福には、手本もはやりもない。きっと、じぶんを励ましほほえませることを、むずかしく思わないほうがいい。ひとは、しぜんに日々のなかで、宝の種をまき、水をやることができる。気づかぬうちにやわらぐ表情は、静かに滋養となり、からだをいたわるーーちょっと元気のない今の私にとって、この文章は心に染みる。2018/01/31
ゆのん
54
読友さんのレビューで知った石田千さんの本も今回で3冊目。下町で力を抜いて暮らすエッセイに共感を覚え、静かで優しい文章に心惹かれ大好きな作家さんとなった。今回の『きつねの遠足』は作文集。作者のお気に入りの本や画家、劇、音楽などについて語られているが、その文章は確かに作文調。他にも詩や散文もあり今まで読んだ2冊とは違った魅力に溢れた1冊。次は小説を読んでみようと思う。82020/01/07
青豆
17
飾らない素朴な言葉で綴れたありきたりな日々の中にある、豊かな時間。からりと晴れたら町に出て、風邪をひいたら本を読む。思うまま、気ままな生活。銭湯、寄席、銀座のバアでも商店街でも、いつも何かに手をひかれ、必ず誰かと巡り会う。偶然という小さな奇跡の積み重ねに感謝しつつ、自分に正直に生きる姿勢が素敵。「幸福には手本も、はやりもない」という一文が心に深く染みた。2017/09/14
はこ
11
読んだ本のこと、食べること、詩があったり。もちろん日々のことも綴られていて、石田千さんの文章はやはり素敵だ。「水にひたした豆がふくらむまで、一冊の本の長旅をめぐらせてみる」こんな風に暮らせたらと思います。2017/08/19