内容説明
文学者としてのまなざし、生活者としてのぬくみ―同人誌時代の創作から晩年の随筆まで、新たに発見された未発表原稿を含む、貴重な全集未収録作品125篇を、初めて一冊に。生誕110年、私小説家の肖像。
目次
1(ツェッペリン飛行船と黙想;大正琴 ほか)
2(活字について;迎春記 ほか)
3(文藝的話題;文藝への刮目 ほか)
4(ドストイエフスキイ;批評家について ほか)
5(自分に言ひ聞かせる言葉;覺書 ほか)
6(大山・升田三番勝負第二局千日手再指し直し局観戦記)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
古古古古古米そっくりおじさん・寺
56
根強いファンを持つ私小説作家・上林暁の全集未収録文集。表題作の詩やアンケートの回答まで多彩な一冊で、値段だけの価値あり(ボリュームも充分だが)。巻末には上林暁による升田幸三VS大山康晴の観戦記が棋譜入りで。しかもこの試合の記録係が当時高校生の米長邦雄!。米長少年の出番は少ないが、ラストで「さすが米長邦雄」と思わせる一言を上林暁は聞き逃さない。栴檀は双葉より芳し。評するも人、評さるるも人。脳出血後は右手が使えなかった上林さん。「判読不能」という注記が挟まる文もある。真面目さが気持ちの良い文集である。お薦め。2019/08/22
HANA
41
全集未収録作品集。随筆集一冊読んだだけでいきなり未収録作品集を読むのはどうかと思ったが、それでも小説、随筆、文学論と万遍無く行き届いた内容になっていて著者の世界の一端に触れることは出来たと思う。現在ではほぼ絶滅危惧種に近い私小説だが、読み直してみるとやはりなかなか悪くない。「尊者」とか「大正琴」とかは特にしみじみとした味わいを醸し出している。しかし私小説と随筆の区別ってどこでするのだろうなあ。またここに名前の出ている同時代の作家のかなりが忘れられた存在になっているのにも、時の無常を感じさせられた。2013/08/09
こまっちゃん
4
全集未収録作品125篇掲載本。詩や書評、将棋観戦記まであって楽しめました。2018/07/16
てらさか
1
「大山・升田三番勝負第二局千日手再指し直し局観戦記」が読みたくて借りたので、この作者については何も知らないもが申し訳ない。2019/01/18