出版社内容情報
一周忌 追悼出版
書籍未収録のままになっていたエッセイ(一部ノンフィクション)を、自伝的日常的作品、短歌や歌人に関するもの、俳句をめぐるものの3冊にまとめる。
内容説明
短歌に賭けた男と女の苛烈な生、そして「御製」「御歌」について。原郷をうたう歌人が遺した、「文学の志」への恋歌。
目次
1 三十一文字の器(父たちの世紀;歌の彼岸―山本健吉『短歌その器を充たすもの』;夢しだれ ほか)
2 物語の女(美しき独断―中城ふみ子覚え書;芥川と「越し人」;ロマネスク・片山廣子 ほか)
3 歌と祈り(「お歌」に託して吐露された真情を読む;終らぬ「昭和」のつとめ;お歌にみる新天皇・皇后の私生活 ほか)
著者等紹介
辺見じゅん[ヘンミジュン]
1939年7月26日、角川源義の長女として、富山県中新川郡水橋町(現富山市)に生まれる。早稲田大学文学部卒業。編集者を経て、歌人、ノンフィクション作家。1984年『男たちの大和』で新田次郎文学賞、1988年『闇の祝祭』で現代短歌女流賞、1989年『収容所からきた遺書』で講談社ノンフィクション賞、1990年同作で大宅壮一ノンフィクション賞、1998年『夢、未だ盡きず』でミズノスポーツライター賞を受賞。2002年幻戯書房、2007年弦短歌会設立。2011年9月21日逝去(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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takao
2
ふむ2024/12/18
メルセ・ひすい
1
★秋燕・燕の中で北半球北部からのものは長距離を渡ることができる。秋になると大海を越えて南下する燕に寄せ、帰燕、秋燕、残る燕、等の美しい言葉が歳時記には見える。<秋つばめ紺にうるみて>という五・七の後に、この歌人は<わが歌の数千来し方ゆくへをしらず>と反転させている五・七・七に歌われた情感は、寂寞たる気息に充ちている。この気息を支えているのは、秋燕の飛翔を<紺にうるみて>と見たことだ…短歌の解明を抜きにして、日本人の心の精髄を捉えることは出来ない。短歌に賭けた男と女の苛烈な生、そして「御製」「御歌」について2012/11/06