内容説明
多様な他ジャンルと交わりながら容易には捉えきれないほどの広がりをみせ、ときに「わからない」ものとされる現代の「彫刻」について、作家、ギャラリスト、学芸員、批評家等々、さまざまな立場で彫刻に携わる24人の著者が、「彫刻をみる」=「彫刻を展示する」「彫刻を記録する」「彫刻を考える」という面から各々の視点で考察し、体験に基づいたリアルな言葉で綴る。「彫刻とは何か」を考える出発点となる一冊。
目次
彫刻を展示する(ギャラリーでの発表;美術館での発表;屋外彫刻展/シンポジウム;パブリックアート/コミッションワーク;展示技術)
彫刻を記録する(写真家がみる彫刻;批評家がみる彫刻)
彫刻を考える(インスタレーションと彫刻;レディ・メイドと彫刻;フィギュアと彫刻;映像によって表現される彫刻;置物と彫刻;銅像と彫刻)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
その他
4
「つくる編」に続き、多くの彫刻家による展示のノウハウや彫刻を見せる際の性質/要因などを各所感や手応えを知る事ができる。加えて「みる編」と名の通り、批評家/写真家/キュレーターらによる彫刻論を読める。当然っちゃ当然だが、読み物としてはこちらの方が歯応えがあって楽しい。固有の文脈を持ちながら、周縁の多くの要素を内包し得る彫刻の、巨大かつ曖昧なその姿に向き合い続ける各々の姿が群像的に見られる心地よさと混乱がある。きっと今後も彫刻はその曖昧な輪郭を広げ続けていくのだと思う。2025/12/19
Koki Miyachi
2
この本は「つくる編」と「みる編」の2部構成の第2部。24名の彫刻に関わるプロがそれぞれの立場で彫刻について語っている。立場が違えば論じる内容も全く異なってくるのは当たり前だ。全体として何か結論があるのではなく、いろいろな見方があることが分かる点が面白い。わからない彫刻が余計わからなくなったというのが率直な感想だが、それはそれでいいのだと思う。2025/07/07
わだ りゅうた
0
「彫刻は彫刻に関わる人の数だけ存在する」はじめにの冨井さんの言葉です。武蔵美に関わる教師やアーティストがさまざまな視点で彫刻について書いています。展覧会の構成から工芸や近代日本批判まで。本当にジャンルはさまざまです。「わからない彫刻」と題してますが、この問題提起は他芸術においても言えるでしょう。わからないから面白い。本当にその通りだと思います。各章で専門的な語彙の解説もしてくれていますし、気になった章を立ち読みするだけでも面白いと思います。2024/11/06




