出版社内容情報
反芸術からもの派まで
1970年前後のアートシーンにおいてあらわになった
観念(イメージ)と物質(モノ)の抗争と対立を解き明かし
〈見るということ〉をめぐる、制作と批評の軌跡を検証する
1960年代の「反芸術」から戦後日本美術の重要な美術動向である「もの派」へ、そして、ハイレッド・センターによる山手線事件、赤瀬川原平の作品を発端に社会現象にまでなった模型千円札裁判。1960年代から70年にかけての日本現代美術の事象を、当時の批評家や作家の実践を通して読み解く。イメージかモノかという困難で切実な問題に、当時の美術の最前線にいた作家や批評家はどう対峙したか—。
中原佑介、W.ベンヤミン、中平卓馬、李禹煥、関根伸夫、赤瀬川原平、高松次郎、中西夏之、G. バタイユ、M. デュシャン、刀根康尚、J. ケージ、森山大道、榎倉康二、栗田勇、R. モリス—。彼らの批評と実践を検証し、日本現代美術の軌跡を追う。
内容説明
一九七〇年前後のアートシーンにおいてあらわになった観念(イメージ)と物質(モノ)の抗争と対立を解き明かし“見るということ”をめぐる制作と批評の軌跡を検証する。
目次
序章 観念と物質の乖離―アンチ・フォームと「もの派」
1章 イメージ批判の出発点―主体と客体の関係性の瓦解
2章 あらかじめ失われたものとしてのイメージ―中原佑介「見るということの意味」
3章 事物の傷痕と離人症―アジェとクラインをつなぐ写真実践
4章 反芸術論争の陥穽―模型千円札事件公判記録1
5章 芸術概念の解体へ―模型千円札事件公判記録2
6章 芸術に啓示を与える芸術―いまだ実現し得ぬ何ものか
7章 無芸術のユートピア―模型千円札からハプニングへ
8章 イメージを失くしモノと対峙する―李禹煥の概念芸術批判
9章 カメラはなんでも写る、映ってしまう―記憶と記録1
10章 ベンヤミン「複製技術論」を超えて―記憶と記録2
11章 なぜ写真=虚像に現実を感じるのか
―闇に向かってシャッターを切る榎倉康二
12章 存在の亀裂のままに―物質との触覚的な出会いを求めて
著者等紹介
高島直之[タカシマナオユキ]
1951年、仙台市生まれ。美術批評・近現代美術。現在、武蔵野美術大学造形学部芸術文化学科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。