魚はなぜ減った?見えない真犯人を追う―東大教授が世界に示した衝撃のエビデンス

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魚はなぜ減った?見えない真犯人を追う―東大教授が世界に示した衝撃のエビデンス

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  • サイズ 46判/ページ数 128p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784864473835
  • NDC分類 663.9
  • Cコード C2075

出版社内容情報

近年ミツバチの大量死などで注目を浴びた「ネオニコチノイド系農薬」。日本の水田で広く使用されているこの農薬は魚にも悪影響を及ぼしているのではないか? と懸念した釣り人も多いだろう。
東京大学大学院新領域創成科学研究所教授である著者は、卒業論文・修士論文・学位論文のすべてを、宍道湖をテーマに書いた。そのデータを駆使し、「化学分析」という武器をもとに釣り人が抱いた懸念と同じ疑問に切り込んでいく。
著者はデータを積み重ね、裁判の判決文のように明確な論理をもって、ネオニコチノイド系農薬が水中の食物連鎖を破壊し、その結果同湖におけるウナギとワカサギの漁獲高が激減したという結論を導き出す。また、その過程では非常に興味深い注目すべき事例も次々に明らかにされていく。それは私たちが漠然と抱いている常識を覆す内容や、さらにはネオニコチノイド系農薬使用以前にも他の要素で水辺の生態系が激変していた事実が明らかにされる。
SDGs、生物多様性の重要性が叫ばれるいま、本書によって著者の視点を共有し知識を得ることは、釣り人をはじめ水辺を愛する人たちの視野を広げ視界を明るく照らし考えを深め、あるべき姿の生態系を取り戻すための大きな指針となるに違いない。

内容説明

2019年11月、東京大学・山室真澄教授らによる論文が世界で最も権威ある学術誌のひとつ『Science』に掲載された。それは島根県・宍道湖の魚類の減少に農薬が関係していることを明らかにしたものだった。

目次

Interview 幼少期から現在まで水辺がライフワーク!山室真澄教授の信念に迫る
魚はなぜ減った?見えない犯人を追う(宍道湖のシジミ研究とネオニコチノイド系殺虫剤;カギを握る「食物連鎖」と宍道湖の生態系;ミジンコのエサは減っていたのか?―水辺の有機物と物質循環の概念;「動物プランクトン」「エビ類」「オオユスリカ」の同時期の激減;容疑者をネオニコチノイド系殺虫剤に絞り込んだ根拠;釣り人の視点が生態系全体の保全のヒントになる;(最終回)ネオニコチノイドに頼らない農業に向けて)
まとめ/月刊『つり人』編集部 脱「ネオニコ」の可能性を探る。(前・後編)兵庫県豊岡市・コウノトリ育む農法を例に

著者等紹介

山室真澄[ヤマムロマスミ]
1960年名古屋生まれ。幼少期から水辺に親しみ、高校2年生で米国の高校に編入。帰国後、東京大学・文科三類に入学。理学部地理学教室に進学し、学生時代の卒業研究から学位論文まで宍道湖の生きものをテーマに研究。その後も一貫して同湖の研究を続け、2019年『Science』誌にて論文「Neonicotinoids disrupt aquatic food webs and decrease fishery yields」を発表する。東京大学大学院新領域創成科学研究科教授。専門分野は陸水学・沿岸海洋学・生物地球化学。2020年の大阪フィッシングショーで、(公財)日本釣振興会環境支部主催の講演会に登壇するなど、得られた知見の普及にも取り組んでいる。1984年東京大学理学部地理学教室卒業。1991年東京大学理学系研究科地理学専門課程博士課程修了(理学博士)。通商産業省工業技術院地質調査所。2001年産業技術総合研究所海洋資源環境研究部門主任研究員。2007年現職(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

☆よいこ

62
釣り雑誌「つり人」(2020年7月~2021年2月)に連載された研究解説▽島根県、宍道湖(しんじこ)の魚類の減少の原因が農薬「ネオニコチノイド系殺虫剤」に関わるとする研究[1:宍道湖のシジミ研究とネオニコ系殺虫剤][2:カギを握る「食物連鎖」と宍道湖の生態系][3:ミジンコのエサは減っていたのか?][4:動物プランクトン・エビ類・オオユスリカの同時期の激減][5:容疑者をネオニコ系殺虫剤に絞り込んだ根拠][6:釣り人の視点が生態系全体の保全のヒントになる][7:ネオニコに頼らない農業に向けて]▽水辺の未来2022/08/28

いとう・しんご

10
「サイレント・アース」で宍道湖における農薬に起因したウナギとワカサギの激減に関する論文が複数回引用されており、その論文を書いた研究者が一般向けに雑誌「つり人」に連載した記事をまとめた本。専門的な内容を分かりやすく書いてありました。兵庫県豊岡市における「コウノトリ育む農法」の紹介もあって、「コウノトリ育むお米」を買ってみようかな、と思いました。2024/05/23

乱読家 護る会支持!

4
ネオニコチノイド系殺虫剤は、人体や脊椎動物への安全性が高いとされる一方で、 昆虫には強い毒性を発揮するのが特徴で、 今日では広く使用されている農薬です。 著者の山室教授は、島根県宍道湖でウナギとカワサギの漁獲量が激減した原因は、「ネオニコチノイド系殺虫剤」ではないかと仮説を立てて、研究を始められました。 研究の結果、「ネオニコチノイド系殺虫剤」が昆虫を減らし、食物連鎖により動物プランクトンが減り、それを食べるウナギとカワサギが激減したことがわかっていきます。2022/06/15

マイアミ

3
★★★ 違和感を覚え内容を素直には受け止められなかった。ネオニコチノイド系殺虫剤を悪玉にという結論ありきで構成されていてエピデンス基づいたなどと言える内容ではなかった。ネオニコチノイドが宍道湖のウナギとワカサギの減少に関係している可能性がある、という程度しかわからないのに、衝撃のエピデンスなどと煽っているのはいただけない。ネオニコチノイドを加えた水槽でウナギ・ワカサギの餌となる甲殻類のプランクトンのバイオマスがどう変化するのかを調べれば、原因がネオニコチノイド系か直接観測できるのになぜやらないのか???2022/03/05

salamann

1
めちゃくちゃ面白かった。ひたすら地道な何十年ものデータ取りや分析を通して、宍道湖のワカサギやウナギが激減した理由を明らかにしていく研究を、釣り人向けに紹介した本。生態の話だけではなく地学の視点から調べるというのも面白かった。こういう地道な活動したい。2022/05/23

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