感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
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炭鉱労働者を主題にした句集。作者は実際に三池炭鉱で働いていたそうだ。自分の経験に基づいた句には圧倒的なリアリティーがある。俳句では、こんなことも表現できるのかと新鮮な感動を覚えた。花鳥風月を表現する俳句とは別のもっと切実な感情が込められている気がする。炭鉱の仕事は危険と隣り合わせで、同僚の死を悼む句や仕事の恐怖を書き込んだ句に、作者の深い思いを感じた。芸術とは無縁のような炭鉱の仕事にも詩情はある。それを掬い上げる句に一番心を打たれた。「坑出づる大夕焼の美しき」2017/10/07