感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きゅー
12
大学の教室を例として、人が着席場所を決める際の心理メカニズムを研究する本書。2012年に出版されているが、内容は過去に発表した論文等に加筆・修正したものを集めたもの。論文発表年は、古いもので1980年代、新しくても2001年頃のため内容の陳腐化について気になった。また、論文集ということで、全体としてのまとまりが欠けているように感じられる。タイトルの「心理メカニズムの”解明”」からは遠い内容だった。ちなみに「前に座る学生ほど成績がよく、後になればなるほど成績が悪くなる傾向がある」(p39)とのこと。2020/12/18
於千代
1
教室内のどの座席に座るのか、そしてそれはどういった心的作用によるものかを数々の実験から探る。前方に座る学生はほとんどの項目で後方に座る学生よりも優位であるのに対し、後方に座る学生は前方に座る学生よりも友人の数が多いという分析は、自分の体験からも首肯できるし興味深い。ただ、如何せん90年代の研究の集積であるため、現在の学生にどこまで適応できるのかには疑問が生じる。2024/10/16
MasakiZACKY
1
ある席に座る人にはどのような特徴があるのかに関する著者の研究成果をまとめた一冊。タイトルにある「座席行動」とは「座席配置のある空間の中で座席を選択したり座席位置を利用する行動」のことだとか。非常に興味深い話題であった。著者はそこに物理的・心理的・社会文化的要因が複合的に関与していると考え、たくさんの研究を展開している。非常に日常的で素朴な現象をいかに実証的な研究に落とし込むかという点でも参考になった。たくさんの結果があってあまり細かくは覚えてないけども、前の方に座る人ほど成績がよいという相関関係は覚えた。2014/02/04