内容説明
明治初期に翻訳語としての「美術」が誕生し、西洋的な美術観が導入されると、東洋において一体的な概念であった「書画」は「書」と「絵画」に分離し、書は美術の境界に位置付けられていく―。その後、近代日本において書はどのように評価されてきたのか。書道界の動向と理論、博物館、展覧会、出版、教育の諸制度より、書がいかに在ったのかを丹念に検証し、旧態の「美術史」を再編する。
目次
第1部 「書」の揺動―「美術」の誕生と形成(明治初期~明治一〇年代)(「書ハ美術ナラス」論争の諸論点;博物館における「古物」観と「書画」;内国勧業博覧会・竜池会における「書画」)
第2部 「書画」の分離―「美術」制度の確立(明治二〇年代~明治三〇年代)(「書ハ美ナラス」論争の影響と展開;内国勧業博覧会・日本美術協会における「書画」分離;博物館・東京美術学校における「書画」分離と「書道史」形成)
第3部 「書」の自立―「東洋美術」の再評価(明治四〇年代~大正初期)(「美術」の相対化と「書」の自立;書家達の自立と文部省美術展覧会・博覧会;「書」の出版の自立)
第4部 「書」の普及と体系化―「美術」から「芸術」へ(大正一〇年代~昭和二〇年)(「書」の「芸術」論とその普及;展覧会・博物館・学校教育における「書」の普及;出版における「書道史」の体系化)
著者等紹介
柳田さやか[ヤナギダサヤカ]
東京芸術大学美術学部芸術学科助教。博士(芸術学)。専門は日本書道史。東京学芸大学教育学部中等教育教員養成課程書道専攻卒業。同大学院教育学研究科総合教育開発専攻芸術教育サブコース修士課程修了。全国大学書道学会理事、全国大学書写書道教育学会理事、書学書道史学会監事(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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