内容説明
戦争や自然災害事故などによる死者を私たちはどのように慰め祀ってきたのか。家族・地域・国家というレベルの異なる共同体における慰霊を系譜的に明らかにし死者をめぐる営みのゆくえを見さだめる。
目次
序論 近代国家と死者の「記憶」の問題
1 歴史のなかの慰霊の諸相(耳塚・鼻塚・鉄火塚―村の慰霊碑が語る戦国の伝説;近世の戦死者祭祀―柳川藩・三池藩を中心に;殉職警官の慰霊と顕彰―「巡査大明神」増田敬太郎の場合;異常死者葬法の習俗をめぐって―『日本民俗地図(葬制・墓制)』記載資料を読み直す
地域における戦没者碑の成立と展開
戦後地域における戦争死者慰霊祭祀)
2 戦後における罹災者に対する慰霊・追悼(東日本大震災による被災死者の慰霊施設―南相馬市から仙台市;慰霊、継承、教訓の場としての御巣鷹の尾根;変質する慰霊行事―「阪神淡路大震災1・17のつどい」の現場から;現場から考える罹災者慰霊の特徴)
今後の研究のために―「慰霊の系譜」と「慰霊研究の系譜」から
著者等紹介
村上興匡[ムラカミコウキョウ]
1960年生。大正大学文学部教授。宗教学(社会史)
西村明[ニシムラアキラ]
1973年生。東京大学大学院人文社会系研究科准教授。宗教学、近現代日本の民俗宗教(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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Toska
22
日本の慰霊研究は長らく靖国論争の影響を受け、「国家vs戦没者」の図式化に陥っていたが、近年は視角の多様化が進みつつあるという。その成果が遺憾なく発揮された論集。戦国時代の耳塚・鼻塚から戦時中の忠霊塔を経て東日本大震災の慰霊碑に至るまで、様々な局面で生じた死者たちの弔われ方の変遷を論じる。例えば「殉職警官の慰霊と顕彰 『巡査大明神』増田敬太郎の場合」(西村明)などは、一見して惹きつけられる反則もののタイトルである。そして実際に面白い。民間信仰の統制を図る明治国家の片隅で生じていた、新たな「神」の誕生。2025/02/20




