内容説明
欧米を理想化し女性の啓蒙に励んだキリスト教知識人とそこに文明開化の夢を見た女学生たち。送り手と受け手の同床異夢が作り上げた明治期を代表する啓蒙婦人誌は日本女性の近代をどのように形づくったのか。
目次
序章 『女学雑誌』と「欧化」をめぐる問いと視座
第1章 『女学雑誌』の成立と展開―編集戦略としての欧化の援用
第2章 相反する二つのメディア像と関係者集団
第3章 同床異夢としての欧化―雑誌に関与する集団のさまざまな表象戦略
第4章 言論場としてのジャーナリズムの形成と『女学雑誌』の位置―明治二〇年代における土着と欧化の対立をめぐって
第5章 女子教育における欧化と愛国―キリスト教教育から教養主義教育へ
第6章 「女学」の文学から文学場の形成へ―キリスト教改良主義の反転と純文学の成立
第7章 家庭実用誌の前身としての『女学雑誌』―ホームの理想と堅実な家政
終章 『女学雑誌』における欧化の構造
著者等紹介
岡田章子[オカダアキコ]
1967年東京生まれ。立教大学社会学研究科博士課程修了。博士(社会学)。専攻:文化社会学、雑誌メディア論、ジェンダー論。東海大学文学部広報メディア学科准教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ガジ
1
欧化がキリスト教知識人と等式のように思えたのだけどこの時代だとそれであってるのかしら…。と疑問はあったけど、女性側の欧化の捉え方と男性の欧化の捉え方が異なる理由から指示している同床異夢の表現は納得できた。あとキリスト教主義の学校が日本のナショナリズムになんで調和できたのか、キリスト教そのものでなくて差異としてのものだったというのも面白い。 参考文献は参考になる。2022/09/21
rbyawa
0
i106、正直なところ巌本善治の「悪行」はよく伝え聞いていたし、キリスト教関係者のいわゆる札幌農学校系ではない人たちの不行跡も知ってはいたが…これはもう、聞きしに勝るとしか言い様がなく、キリスト教の婦人教育の名前を借りて女への絶対服従精神を叩き込むというか…江戸の女のほうがずっとマシな待遇なのはどういうことなのか(単純にそこまで外道ではなく、女子教育をまず先行、だが教育ある女の意思のある発言に大反発、続けての男子への教育が棚上げ…)。束髪くらいしか結実した内容がなく、頑張ってはいるんだけど、実りがない…。2018/12/01
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