内容説明
戦前から戦後にかけて、新宿東口に「ムーラン・ルージュ新宿座」という、軽妙な芝居やレヴュー、コントなどを上演する小劇場があった。明日待子・森繁久彌・有島一郎・由利徹・三崎千恵子ら多くの俳優や演出家等を輩出しながら、新しい時代の演劇を模索した小劇団と軽演劇の世界をいきいきと描く。
目次
1 大正・昭和初期―大正六年(一九一七)―昭和七年(一九三二)(浅草オペラからインチキ・レヴューへ;ムーラン・ルージュ開場;ヴァラエティ・シアターの冒険;都市モダニズムの黄昏)
2 戦前―昭和七年(一九三二)―昭和九年(一九三四)(郊外というフロンティア;空気・飯・ムーラン!)
3 戦中―昭和一〇年(一九三五)―昭和二〇年(一九四五)(真珠区の表と裏;むうらん・るうじゆと作文館)
4 戦後―昭和二〇年(一九四五)―昭和二六年(一九五一)(焼け跡に建つ小屋;戦後軽演劇の興亡)
著者等紹介
中野正昭[ナカノマサアキ]
昭和46年(1971)福岡県生まれ。明治大学大学院文学研究科演劇学専攻博士後期課程単位取得退学。専門は日本近現代演劇、演劇世相史、大衆文化論。早稲田大学坪内博士記念演劇博物館・助手を経て現在同博物館・招聘研究員、明治大学、神田外語大学、埼玉学園大学、立教大学、早稲田大学・非常勤講師ほか(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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tkm66
1
基礎的な知識が欲しくて読んだ筈。ただ後年の邦画全盛期の名脇役達が相当数、この軽演劇系の出身と判り驚いた、との覚えが。2011/11/05
よしだ まさし
1
中野正昭『ムーラン・ルージュ新宿座』森話社を読了。 新宿にあった軽演劇集団「ムーラン・ルージュ」をベースに、戦前戦後の軽演劇の歴史を描いた労作である。いやあ、よくぞここまで調べ尽くしたものと、ただただ圧倒される。いったい、どれだけの文献にあたり、どれだけの時間をかけたものやら。 これから戦地に赴く兵士が客席から舞台の明日待子にむかって万歳三唱した事件とか、終戦直後、新宿にあふれる街娼(パンパン)を題材にした「性病院」という舞台の時に、舞台で歌う「月の沙漠」に合わせて、客席にいるそれと分かる女性たちが2011/11/26