内容説明
柳田国男にとっての「民俗」とは、古き良き日本の原風景といった郷愁に満ちたものだったのだろうか。柳田以降に醸成された「民俗学」をめぐる神話から脱し、「公民」「よき選挙民」の育成を企図した柳田民俗学の実像にせまる。
目次
序章 本書の性格と狙い
第1章 『遠野物語』は聖典なのか―その“神話”化をめぐる言説空間
第2章 『遠野物語』執筆における柳田国男の“動機”―その農政論との関わりをめぐって
第3章 同情と内省の同時代史へ―柳田国男の政治をめぐる「民俗」への視点
第4章 柳田国男と選挙粛正運動―「政治教育」としての民俗学の構想と破綻
第5章 柳田国男と教育基本法―「公民」観の位相と戦後民俗学構想をめぐって
第6章 「個人」を育む民俗学―山口麻太郎における「政治教育」の実践とその意義をめぐって
第7章 不公正なる「民俗」―きだみのるにおける柳田民俗学の実践と挑戦
終章 結論―民俗学は、政治である。
著者等紹介
室井康成[ムロイコウセイ]
1976年、東京・世田谷生まれ。国学院大学文学部文学科卒業。国学院大学大学院文学研究科日本文学専攻博士課程前期修了。総合研究大学院大学文化科学研究科日本歴史研究専攻博士課程後期修了。博士(文学)。これまで蔚山大学校・千葉大学・早稲田大学・立教大学において民俗学を講じる。2008年から千葉大学地域観光創造センター特任研究員(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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