内容説明
土葬から火葬、神式から仏式、山陵から菩提寺。めまぐるしく変わる弔い方から見えてくる、中世国家の実像とは!?
目次
中世天皇はどのように葬られたか
第1部 “死”から“不死”へ―古代・中世前期の天皇葬礼(死ぬことが許された古代天皇;不死の天皇の登場;「イエ」的儀礼としての天皇葬儀;両統迭立と天皇葬儀・追善仏事)
第2部 許されなかった“死”―中世後期の天皇葬礼(律宗字院の菩提寺化と禅宗の勃興;天皇葬儀と尊氏・義満;後小松葬にみる皇統の揺れ;二つの「御寺」と天皇葬儀)
様変わりした近世の天皇葬儀
著者等紹介
久水俊和[ヒサミズトシカズ]
1973年生まれ。現在、明治大学文学部助教(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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さとまる
9
古代の天皇は死ぬことを許されたが、中世になると例え在位中の死でも「如在之儀」として生前に東宮に譲位し上皇となった体を取らないと死ぬことも許されなくなる。埋葬も土葬から火葬へとなり仏教色が強くなる。我々が思う「天皇の死」はどうしても昭和天皇の死となるが、あの儀式は近代に古代を模して「再構成」された新しい葬礼で、中世という特殊な天皇葬礼の時代があったことを知れた。2025/04/18
MUNEKAZ
9
「お葬式」を切り口に、中世の天皇家の「イエ意識」や皇統の変遷を追った一冊。巨大な山稜を伴う国家的葬礼から、仏教に帰依しミウチで行う「イエ」的儀礼への転化の中で、どの天皇の追善仏事をどの皇統が行うか、あるいはどこの寺院でどの形式に則って行うか。両統迭立に南北朝、そして北朝内での称光流と後光厳流の暗闘と、「天皇家」の家督が不安定だった中世において、「葬礼」がそうした問題の噴出する政治的な駆け引きの場であったことは面白い。この紆余曲折を見ると、明治期に国家神道へ強引に一本化したのも、それなりに合点がいくのかも。2020/06/02
六点
8
ぬこ田にとって、「天皇の死」は大方の人と同じく「昭和帝大喪の礼」なのである。が、良くも悪くも国家的祭儀となったそれと異なり、天皇が在位中に死ぬと「皇居が死穢に侵される」と言うことで、生きている事にして譲位の後死んだことにしよう。と、言う、江戸大名の無嗣断絶を避ける知恵の先蹤であるような仕儀となっていた。天皇の葬礼は「皇家のイエの儀礼」になり、公卿すら参列しない者が多いという事になったことには驚かされた。それが武士の力により、再び国家祭儀になった時、武家政権の命数が尽きたのである。驚きに満ちた本である。2020/12/15
Kazuyuki Koishikawa
2
在位中に死亡しても生きてる体で譲位してから葬儀とか予算も関係したとか現実は厳しい。 殯がどんなものかこれで初めて知った。2020/10/03
眉毛ごもら
2
中世と書いてあるが他の時代も簡単にだが記録のある葬礼について網羅してある。初期は金も時間も人もかかる儀式をしていたが薄葬令等で段々と省略されていき上皇になるのが一般的になると天皇の葬儀より簡略化され身内だけで行われたようで。天皇で死ぬと金かかるから譲位したふりをして行幸の体で葬儀場に運ばれたとか、事故死した四条天皇は皇統の問題もあり放置され骨が見えたとか、戦国期は金がなくてうじがわいたり、膨張した遺体の納棺に手間取ったり…金がなくてつらい。江戸期からは幕府が金くれて葬儀できてた。基本的に仏式で行われてた。2020/06/21
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